研究課題/領域番号 |
16K18938
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津田 真弘 京都大学, 薬学研究科, 特定講師 (10726813)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 抗HIV薬 / TDM / 薬物動態 / 個別化医療 / エイズ / LC/MS/MS / アドヒアランス / トランスポータ |
研究実績の概要 |
HIV感染患者において抗HIV薬は一生飲み続けなければならない薬剤である。しかし、副作用の発現などにより、服薬アドヒアランス(患者が主体的に治療に取り組み、薬を服用すること)が低下し、適切な血中濃度が維持できなくなり、HIVに耐性が獲得され、治療継続が困難となる例も多い。よって、服薬アドヒアランスの確認および適切な血中濃度維持のため、抗HIV薬のTDM(Therapeutic Drug Monitoring)を確立することは重要である。本研究では、服用患者数の多いドルテグラビルを対象薬とし、実臨床での血中濃度モニタリングによるTDMの確立に向けて、ドルテグラビルの薬物動態学的特徴を明らかにすることを目的とする。初年度は、LC/MS/MSを用いたドルテグラビル血中濃度測定系の確立およびドルテグラビル服用患者の臨床情報の収集を行い、以下の成果を得た。 ドルテグラビルの細胞内濃度や血中濃度を測定するため、LC/MS/MSにおけるドルテグラビル測定系を構築した。ヒト血清中にドルテグラビルを種々濃度で添加したスパイク検体を繰り返し測定することによって本測定系の真度、精度などを確認し、定量性を評価した。京都大学医学部附属病院に通院中で、ドルテグラビルを服用している患者カルテより、年齢、性別、ドルテグラビル服用量、併用薬、有害事象、腎機能や肝機能に関する検査値等、基本的な情報を収集した。 今後、培養細胞系を用いた輸送実験、ヒト血液を用いた臨床研究や薬効との相関研究を行うにあたり、有用な基礎的情報となるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の目標は、ドルテグラビルの体内動態制御因子を特定し、基礎的情報を収集することであった。LC/MS/MSを用いたドルテグラビル血中濃度測定系を確立することが出来たが、測定系の確立までに予想以上の時間がかかったこと、および次の段階である細胞実験を行うに当たり環境整備に時間を要していることなどから、予定より遅れが生じている。また、患者検体を用いる臨床試験の実施計画書は、京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院 医の倫理委員会に提出準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
トランスポータ発現細胞を用いた輸送実験に早期に着手し、ドルテグラビルの体内動態に関与するトランスポータを同定する。同時並行でドルテグラビル使用患者の血液検体を用いる臨床試験の実施計画書を、京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院 医の倫理委員会に提出し、承認を得た上で臨床研究に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度着手予定であった細胞を用いた実験などにかかる経費を次年度に繰り越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
ドルテグラビル原末並びに測定に必要な試薬類購入費、細胞培養関連経費、消耗品購入費として昨年度の残額を使用予定である。
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