研究課題
siRNAを始めとする核酸医薬は、配列特異的にターゲット遺伝子の発現を制御できるため、薬物治療が困難な難治性疾患に対する切り札と考えられている。この治療の具現化には、細胞内へ核酸医薬を的確に導入する薬物送達システム(DDS)が必要不可欠である。本研究は、近年大きな期待を集めている核酸医療を具現化し、眼科領域のアンメットメディカルニーズに応える革新的な実用製剤開発に繋げることを目的として、核酸送達用微粒子DDS点眼製剤の設計基盤を構築する。我々はこれまでに低分子医薬を封入したリポソーム点眼製剤による網膜疾患治療に関する研究を行った実績がある。そこで今年度は、核酸医薬に近い分子量や物性を有するモデル化合物をリポソーム内部へ封入し、後眼部薬物治療の有用性を評価した。その結果、水溶性高分子の場合でもリポソームを利用することで網膜への薬物送達率が向上することを明らかにした。また、生分解性高分子ナノ粒子(PLGAナノ粒子)を点眼用薬物キャリアとして用いた場合でもモデル薬物を後眼部へ送達できることを見出し、論文として報告した。PLGAナノ粒子点眼製剤はリポソームの場合と同様の経路で網膜付近まで到達すると考えている。リポソームやPLGAナノ粒子に対し機能性ポリマーを用いて表面修飾を施すことで、後眼部への薬物送達能が向上することも見出している。このように後眼部送達には微粒子への表面修飾が有効であるが、わずかな粒子物性の変化が薬理効果に大きな影響を及ぼすため、極めて精密な粒子設計の確立が必要となる。そこで現在、微粒子点眼製剤の高機能化や最適化などを行うために、マイクロ流体場における新規ナノ粒子合成法に関する研究を行っている。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り研究は進展している。
マイクロ流体場における微粒子合成の最適化を行うとともに、実際に動物を用いたin vivoでの研究を中心に、点眼DDS微粒子製剤の機能評価及び動態特性を明らかにする。
一部の実験を次年度に行うことにしたため。
主に実験用の物品費として使用する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)
Asian Journal of Pharmaceutical Sciences
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.ajps.2017.03.002
Current Neurovascular Research
巻: 14 ページ: 46-52
10.2174/1567202614666161104115440