研究課題/領域番号 |
16K18949
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
平井 啓太 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30740203)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 喘息・COPD オーバーラップ / 気管支喘息 / 慢性閉塞性肺疾患 / 遺伝子発現解析 / microRNA / NOS2 |
研究実績の概要 |
喘息と慢性閉塞性肺疾患 (COPD) を合併する喘息・COPD オーバーラップ (ACO) は各々の単独症例に比べ疾患増悪リスクが高いことが報告されている。しかし、詳細な病態解析は未だ不十分であり、最適な治療の構築には至っていない。本研究は分子病態型解析および遺伝子多型解析によりACOの病態を特徴づけ、疾患増悪因子および治療抵抗性因子を明らかにすることを目的としている。 上記の研究目的を達成するため、本年度は、同意の得られた患者より収集した血液検体等を用いて遺伝子多型解析、遺伝子発現解析等を行い以下の知見を得た。1) 遺伝子多型解析による疾患増悪因子の検討を行った結果、誘導型一酸化窒素合成酵素 (NOS2) のプロモータ領域に存在する5塩基繰り返し配列の繰り返し数の差異が増悪発現リスクと関連することを明らかにした。2) ACOの病態を特徴づけ、最適な治療ターゲットを探索するため、ノンコーディングRNA (ncRNA) として知られる血漿中マイクロRNA (miRNA) を用いた病態解析を行った。その結果、ACO、喘息およびCOPD患者の3群間において、ACOに特徴的な発現パターンを示すmiRNAが複数確認された。現在、それらmiRNAが制御する遺伝子との関連について検討を行っている。3) ncRNAの1つであるtransfer RNA (tRNA) より産生されるtRNA-derived RNA fragments (tRFs) に注目し、病態との関連について解析を行った。tRFsの産生を1-methyladenosine (m1Ado) に対する特異的抗体を用いて検出したところ、血漿中および唾液中m1Ado濃度は酸化ストレス関連分子との相関が認められ、増悪発現予測マーカーとなる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例の集積は完了しており、目標は一定の水準で達成している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引続き同様な研究体制で研究を継続する。 炎症病態や薬物応答性に関与する遺伝子において多型解析を行い、さらに炎症性マーカーや酸化ストレスマーカーについて定量解析を行う。また、症例登録後の増悪発現および肺機能検査値の変化を記録し、疾患増悪発現に関与する因子を検討する。
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