研究課題/領域番号 |
16K18952
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
田上 辰秋 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (10609887)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | DDS / 蛍光イメージング / 金ナノクラスター |
研究実績の概要 |
今年度は、蛍光イメージングに有用な金ナノクラスターの開発を行った。リポソームなどのナノキャリアをイメージングする極小サイズのナノ素材として、金ナノクラスターを調製し、光学的性質を含む物理化学的性質を評価した。金ナノクラスターは、感光性を示すことが報告されているが、不安定性のために保護基(タンパクなど)の表面修飾を必要とする。金ナノクラスターの合成は、塩化金酸溶液に保護基を加え、還元条件下で撹拌することにより行った。金ナノクラスターの粒子径は、動的光散乱法により評価した。アルブミン保護された金ナノクラスターの大きさは、約2~3 nmであった。また、金ナノクラスターを調製したサンプルに光照射すると、対照群と比較して顕著な蛍光を認めたことから、金ナノクラスターの合成を確認することができた。 さらに検討を重ねた結果、多機能性タンパクであるラクトフェリンを保護基として、金ナノクラスターを調製したところ、特定のがん細胞株における金ナノクラスターの取り込み量が、他の保護基のものと比較して顕著に高いことがわかった。これは、この金ナノクラスターががんに対するターゲティング能力を有していることを強く示唆している。また、抗がん剤を金ナノクラスターに含めることができ、がん細胞株において殺細胞効果を認めたことから、この金ナノクラスターは抗がん剤を搭載するための機能性のナノキャリアとして期待できる。今後も検討が必要であるが、金ナノクラスターはナノキャリアに搭載可能な蛍光イメージングに有用な極小ナノ素材であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究項目である、金ナノクラスターの調製において、問題のない結果が得られており、さらに、金ナノクラスターについて新しい性質を見出すことができた。このため、概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行ってきたところで、まだできていない箇所について検討を重ねる。特にリポソームに封入する最適な抗がん剤について検討が行えていないので、抗がん剤の封入の検討を引き続き行う。
また、研究計画に書いてある、in vivo実験についても検討を行う。担がんマウスを作成後、リポソームを投与し、その後、近赤外レーザーを照射して治療を行う。がん成長の経日変化をモニターすることにより治療効果を評価する。また、体重変化をモニターすることにより、副作用の評価を行う。
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