研究実績の概要 |
今年度は、実際の患者さんにミアンセリン坐剤を使用するにあたって、主な使用対象になると想定される高齢者を対象とした薬物動態試験を実施した。方法および結果、考察は以下のとおりである。結果は、日本医療薬学会第27回年会にて発表を行った。 【方法】ミアンセリン坐剤は、ホスコ®H15を基剤としてテトラミド®錠粉砕物0.2g(20mg成分)を混合し、1.4g/個に調製した。薬物動態試験は、縄田らの行った健康成人男性における薬物動態1)を確認後、健康高齢男性3名を対象にパイロット試験を実施した。血中濃度は、投与前、投与0.5, 1, 2, 4, 6, 8, 10, 24, 36, 48時間後に採血した。GS-MSで測定をした。血中濃度測定と同時に被験者の鎮静状況を調査した。なお、本研究は倫理委員会の承認(B-2016-015)を得て、UMIN臨床試験(No.000026579)に登録の上、実施した。 【結果】健康高齢男性の薬物動態は、最高血中濃度(Cmax)7.0 ± 1.4 ng/mL、最高血中濃度到達時間(tmax)14.7時間、AUC0-∞ 224.9 ± 35.9 h・ng/mLであった。血中濃度に相関した鎮静作用は認められなかった。 【考察】ミアンセリン坐剤の健康高齢男性の薬物動態は、健康成人男性での投与量(30mg)に補正して比較すると、健康成人男性よりCmaxは低く、tmaxは延長し、AUC0-∞は約60%であった。ミアンセリンの高齢者の薬物動態は、成人と比較して経口投与ではAUCは上昇するが、直腸投与ではAUCの低下が認められたため、直腸からの吸収に違いがあると考えられる。今後、経口摂取不可能な患者におけるせん妄や抑うつ状態に対する治療効果を検証する試験を予定している。 1)J Pharm Health Care Sci. 2016 May 17;2:12
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