研究課題
本研究は、がん化学療法誘発末梢神経障害発症機序の解明と分子標的薬による治療応用を目指している。平成30年度は平成29年度から引き続き検討しているオキサリプラチン、パクリタキセル、ビンクリスチン及びボルテゾミブ誘発末梢神経障害誘導機構について解析を行い、抗がん剤投与14日目においてマウス皮膚、脊髄後根神経節及び腰髄において数種の因子が活性化していることを認めた。また、見出した因子のシグナル伝達阻害薬を抗がん剤と併用することで、抗がん剤誘発末梢神経障害モデルマウスの痛覚過敏及び冷過敏を抑制できることを明らかにしている。さらに、このシグナル伝達阻害薬は抗がん剤による抗腫瘍効果を増強することも明らかにしている。平成29年度に見出したマウス皮膚、脊髄後根神経節及び腰髄で活性化が認められた数種の因子とシグナル伝達因子の関連性を検討したところ、見出した数種の因子によりシグナル伝達因子が活性化することも明らかにした。さらに、活性化が認められたシグナル伝達因子の阻害により、見出した数種の因子の活性化が抑制されることも認めた。以上のことから、活性化が認められたシグナル伝達因子は抗がん剤末梢神経障害に関与する因子の発現を調節しており、これらシグナル伝達因子の阻害により抗がん剤末梢神経障害を抑制できる可能性を示唆した。さらに、シグナル伝達阻害薬は抗がん剤の抗腫瘍効果も増強することも本研究により明らかにしている。よって、見出したシグナル伝達阻害薬は種々の抗がん剤誘発性末梢神経障害治療薬として有用である可能性が考えられる。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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