研究課題/領域番号 |
16K18967
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
東野 晴輝 摂南大学, 薬学部, 助教 (60736784)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脂質分散製剤 / 難溶性薬物 / 消化管吸収 |
研究実績の概要 |
本研究では、種々の脂質・界面活性剤・補助溶媒の3成分が均一に混和し、かつ水系溶媒中でマイクロエマルションの形成する自己乳化型製剤の組成・比率を明らかする。さらに、ヒト経口投与後の自己乳化型製剤の脂質消化挙動やbio-performance (過飽和溶解の有無を含めて)を精度よく予測するために、in vitroにおいて、ヒト消化管内環境 (消化管内水分への分散、脂質分解酵素であるリパーゼや胆汁酸成分との混和)を反映したシステムの構築を試み、in vivoとの相関性を観察した。 脂質として炭素鎖C16-C20程度の長鎖脂肪酸で構成されるコーン油または、C8-C10程度の中鎖脂肪酸で構成されるココナッツ油を利用し、界面活性剤としてクレモフォールELを用いると水系溶媒中で自己乳化し、油滴の粒子径が100 nm程度の熱力学的に安定なマイクロエマルションを形成することを確認した。さらに、難溶解性薬物モデル薬物であるジピリダモール又はケトコナゾールを製剤中に溶かし込み、製剤からの両薬物の放出性をside-by-side型チャンバーに半透膜を挟み込んだシステムを用いて観察した。本システムに用いた半透膜は、油滴と水中のfreeの薬物を分離することができ、製剤から水中に放出されるfree薬物濃度推移を観察できる。中鎖脂肪酸の脂質では、消化されやすいものの、両化合物ともに、溶液中で過飽和溶解を示した。一方、長鎖脂肪酸の脂質の場合では、過飽和溶解は観察されなかった。さらに、ラットを用いた動物実験で吸収及ぼす過飽和溶解の影響を観察した結果、中鎖脂肪酸の脂質製剤を投与した場合のみ、投与後初期の吸収速度が大きく、その分だけAUCが増大した。本結果より、脂質消化による過飽和溶解が吸収増大に寄与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度予定していた、自己乳化型製剤の調製についてはおおむね完了し、次年度の検討についても着手している。
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今後の研究の推進方策 |
計画書にも記載した通り、製剤と消化管内成分である胆汁酸やレシチンとの相互作用および過飽和溶解を含めた放出性との関係性を検討し、in vivo吸収との相関関係を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算額のほぼすべてを使用したが、端数として144円繰り越した。使用や研究計画自体には影響はなく、残額は来年度に使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
端数金額144円は次年度に使用する。
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