研究実績の概要 |
クロロゲン酸による医薬品の苦味抑制効果について味覚センサを用いて評価し、さらに医薬品-クロロゲン酸間の分子間相互作用について評価した。アムロジピンべシル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ドネペジル塩酸塩、レバミピド、ジクロフェナクナトリウム、エトドラクを対象医薬品として使用した。味覚センサは味認識装置 (SA402B, インテリジェントセンサーテクノロジー株式会社) を用い、各医薬品 (0.01, 0.05, 0.10, 0.50, 1.00, 2.00 mM) にクロロゲン酸を混合した試料を測定し、クロロゲン酸による各医薬品の苦味抑制効果を評価した。また、分子間相互作用解析にはSPR-Navi (BioNavis) を用い、クロロゲン酸を固定した金薄膜に各医薬品溶液を作用させた場合の表面プラズモン共鳴 (Surface Plasmon Resonance: SPR) 現象による応答を評価した。さらに、クロロゲン酸による医薬品の苦味センサ膜応答抑制率と、SPR解析から得たクロロゲン酸と医薬品の結合定数KD、結合速度定数ka、解離速度定数kdとの相関性について評価した。クロロゲン酸による苦味センサ膜応答抑制率が高い医薬品ほどクロロゲン酸と医薬品の結合速度定数kaが大きい傾向が確認された。クロロゲン酸と結合しやすい医薬品はクロロゲン酸により効果的に苦味が抑制されることが示唆された。特に塩基性医薬品の苦味はクロロゲン酸により効果的に抑制され、その効果には医薬品とクロロゲン酸間の分子間相互作用が関与することが考えられた。
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