研究実績の概要 |
肝細胞癌HepG2にパルミチン酸 (PA) を添加して作製したin vitro脂肪肝モデル を用いて、本研究室で開発したγ-トコトリエノール (γ-T3) の水溶性プロドラッグである2R-γ-Tocotrienyl N,N-dimethylglycinate hydrochloride (γ-T3DMG) のトリグリセリド (TG), 総コレステロール (TCHO) 生成に対する効果及びその効果発現メカニズムを評価した。対照薬物としてγ-T3と、現在臨床でNAFLD治療に使用されるα-トコフェロール (α-Toc)を用いた。 1. in vitro脂肪肝モデルにおいて、細胞増殖抑制を起こさない薬物添加時間及び濃度の検討を行った結果、薬物添加24時間及び40μM以下の濃度で効果評価を行うことに決定した。 2. in vitro脂肪肝モデルにおいて、PAの非添加群に対してPAを添加したコントロール群では、細胞内のTG及びTCHO量が有意に増加した。TG量は、コントロールと比較して、α-Toc, γ-T3及びγ-T3DMGの10μM添加群に差は見られなかったが、40μM添加では、すべての薬物添加群において有意に減少した。TCHO量は、コントロールと比較して10μMにおいては、γ-T3DMG添加群のみ有意に減少し、40μMでは、すべての薬物添加群において有意に減少した。 3. in vitro脂肪肝モデルにおけるγ-T3DMG のTG及びTCHO量抑制効果のメカニズムを明らかにするため、脂質代謝関連因子 (LXRα, SREBP-1c, SREBP-2, FASN, MTP, CPT-1a, PPARα, LDLR, HMG-CoAR)について、今現在、リアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いて解析中である。
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