研究実績の概要 |
In vivo脂肪肝モデル(TSODマウス及び対照モデルのTSNOマウス)を用いて、本研究室で開発したγ-トコトリエノール (γ-T3) の水溶性プロドラッグである2R-γ-Tocotrienyl N,N-dimethylglycinate hydrochloride (γ-T3DMG)の脂肪肝抑制効果及びその効果発現メカニズムを評価した。対照薬物としてγ-T3と、現在臨床でNAFLD治療に使用されるα-トコフェロール(α-Toc)を用いた。7週齢マウスを搬入後、8週齢より連日強制経口投与を行った。また、初回通過効果を回避できγ-T3DMG本体の効果を確認できる腹腔内投与による評価も行った。 1. γ-T3DMG経口投与によりTSODマウスの皮下脂肪量、後腹膜脂肪量、血漿中ALT活性、血漿中トリグリセリド(TG)濃度及び肝臓中総コレステロール(TCHO)濃度は有意に減少した。TSODマウスのγ-T3DMG投与群の肝臓中のγ-T3量は、γ-T3投与群と比較して約1.5倍に高くなっていた。 2. γ-T3DMG腹腔内投与によりTSODマウスの体重、皮下脂肪量、後腹膜脂肪量、血漿中ALT活性及びTCHO濃度は有意に減少した。 3. in vivo脂肪肝モデルにおけるγ-T3DMGのTG及びTCHO量抑制効果のメカニズムを明らかにするため、肝臓中の脂質代謝関連因子 (LXRα, SREBP-1c, SREBP-2, FASN, MTP, CPT-1a, PPARα, LDLR, HMG-CoAR)について、今現在、リアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いて解析中である。 γ-T3DMGは、 γ-T3投与よりも効果的にγ-T3を肝臓へ送達し、α-Tocおよびγ-T3よりも優れたALT活性抑制効果及び脂肪抑制効果を有することが明らかとなった。
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