研究実績の概要 |
Receptor-like protein (FcRL)は、主としてB細胞に発現し、免疫グロブリン(Ig)と結合する受容体タンパク質である。FcRLにはFcRL-1,2,3,4,5,6,A,Bのサブタイプが存在し、抗原提示、B細胞の分化、抗原抗体複合体(Immune Complex)の保持などへの関与が示唆されており、免疫学的観点から注目されている。FcRLはリガンドとしてIgGに結合することが示唆されている。しかし、各サブタイプのFcRLがそれぞれどのアイソタイプのIgGに結合するのか、リガンドの詳細な同定はなされていない。投与された抗体医薬品がFcRLに結合するのであれば、抗体医薬品の体内動態等に著しい影響を及ぼすと考えられる。さらに、結合によってB細胞を介した免疫応答を引き起こすのであれば、抗体医薬品の有効性、安全性への影響は非常に大きいと考えられる。各サブクラスのFcRL蛋白質を調製し、抗体医薬品や各アイソタイプの抗体との親和性の解析により、FcRLのリガンド結合特性を明らかにする。また、糖鎖構造等、IgGの翻訳後修飾とFcRL親和性の関連を明らかにする。 本実験では、まず各サブタイプのFcRL蛋白質溶液を調製した。各サブタイプのFcRL蛋白質溶液を調製した後、表面プラズモン共鳴(SPR)のセンサーチップ上に固定化した。次に各アイソタイプのIgGをアナライトとして流路に流したが、FcRLへの結合は確認できなかった。これは、センサーチップ上に固定化されたFcRLの、溶液中での安定性に問題があるのではないかと考えられる。
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