研究実績の概要 |
カップルの15%が不妊であり、半数は男性側に原因があるとされている(Fisher & Hammarberg, 2012)。原因の多くは精子形成障害であるが、機序が解明されたものは少なく、その解明と治療のために精子を作る精巣の研究が多数報告されてきた。しかし、精巣内の大部分を占める精細管の構造と機能に関しては、今もなお未解明な点が多く、研究段階にある。 本研究は蛍光3重染色を用いた半自動の三次元再構築法により、生後発達を含めた精細管の構造解析と精子形成の定量的解析を三次元で行うことを目的とした(平成28年度の目的)。さらに、空間的に偏る精子形成に関連した遺伝子を同定し、その遺伝子がコードする分子の機能を解明することを目指す(平成29年度以降の目的)。また、ヒトでは精細管の三次元再構築例がなく、詳細な構造の解明を目指す(平成29年度以降の目的)。 平成28年度では、生後発達におけるマウス精細管の本数・分岐・長さ・走行・相互関係を明らかにするために、0日齢、21日齢、70日齢の精細管の三次元再構築を各3例行った。70日齢において、蛍光染色を用いた半自動の三次元再構築は技術的に困難であり、PAS染色を使った半自動の再構築方法を考案し、実行した。また、精子形成に関わる空間的な偏りを検討するため、精子形成が開始した場所を三次元で明らかにした(論文執筆中)。 精巣の形態の詳細な情報は研究の基盤として不可欠である。
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