研究課題/領域番号 |
16K18978
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加村 啓一郎 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (30604483)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Hippoシグナル |
研究実績の概要 |
本研究では、Hippoシグナル経路を改変した細胞を発現させたマウス細胞競合モデルを利用して、マウス発生過程から成体の各組織に至るまで、いつ・どこで細胞競合が起こるのかを広く明らかにし、生体における細胞競合の普遍性・特異性の解明を目指す。 今年度は、マウス胚に活性化型Yap発現細胞をモザイク状に誘導して、そのYap発現細胞の増加の有無を調べることで、胚や各組織における細胞競合の有無を判断する、ということに、取り組んできた。具体的には、内胚葉性上皮細胞特異的Cre-ER発現マウスとCre誘導性のYapおよびGFP発現マウス(R26R-Yap-IRES-GFP)、mCherry発現マウス(R26R-mCherry)をかけ合わせ、内胚葉性上皮細胞特異的に遺伝子組換え細胞を誘導できるマウス胚・個体を得る。Cre-ERは、薬剤(タモキシフェン)の投与量に応じて活性効率が変化するため、投与量を適度に調節することで、GFP発現細胞(Yap発現細胞)とmCherry発現細胞(野生型細胞)を同程度かつモザイク状に誘導できる。これらのマウスに対して、薬剤投与後1日目と4日目で胚・組織を回収し、FACSにかけてGFP細胞とmCherry細胞の数を比較した。また、切片を作製して同じくGFP細胞とmCherry細胞の数を比較し、各組織における細胞競合の有無を確認した。 その結果、E7.5とE10.5の間で、細胞数の比(GFP/mCherry)が増加していた。しかし、細胞死の頻度や細胞増殖の頻度については、コントロールとの差は見られていない。また、E10.5で比較した限りは、組織間の細胞競合の有無について、明確な違いは示せていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モザイク状に誘導したマウスのコントロールとして、全身でYapを発現するマウスの解析も同時に進めていたところ、そちらで新たな表現型が観察され、そちらの解析に時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、全身でYapを発現するマウスを中心に、成体での解析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表を予定していた2016年度の日本発生生物学会大会(熊本開催)が、震災のため中止となり、旅費が不要となったため。また、使用を予定していたマウス施設使用料を他の研究費でまかなうことになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
マウス施設使用料、および、一般試薬(切片作製関連製品、免疫染色試薬など)、プラスチック・ガラス器具(プラスチックシャーレ、スライドガラスなど)、実験用動物(野生型マウス、遺伝子改変マウス)の購入に充てる。
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