研究課題/領域番号 |
16K18984
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
大谷 佐知 (桑原佐知) 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (40412001)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | GnRH / IL-18 / 視床下部 |
研究実績の概要 |
視床下部に存在する性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンは哺乳動物の生殖機能の調節に重要である。本研究は、脳において恒常的に発現し、脳損傷やストレスにより発現増加がみられるインターロイキン-18(IL-18)とGnRHニューロンの関係を明らかにすることにより、脳内炎症時のGnRHニューロンの調節機構を解明することを目的として以下の実験をおこなった。 in situ hybridization法、免疫組織化学法により視床下部におけるIL-18受容体α鎖(IL-18R)発現細胞ならびにIL-18産生細胞の同定をおこなった。その結果、IL-18Rαは約60%のGnRHニューロンに発現することが分かった。一方、IL-18陽性反応はミクログリア(Iba-1陽性)だけでなく、GnRHニューロンにおいても観察された。実験に用いた正常動物において、ミクログリアのIL-18免疫陽性反応は微弱であったのに対し、GnRHニューロンにおけるIL-18の反応性は非常に強かった。このことからGnRHニューロンは非炎症下においてもIL-18をタンパク質レベルで高発現し、オートクラインあるいはパラクラインによりGnRHニューロンに作用する可能性が示唆された。 次にマウス由来GnRHニューロンの不死化細胞株として樹立されたGT1-7細胞におけるIL-18RαならびにIL-18の発現を、RT-PCR法ならびにWestern blot法により検討をおこなった。その結果、GT1-7細胞にはIL-18RαならびにIL-18が発現することが分かった。現在、リコンビナントIL-18を用いた添加実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は大きく分けて2つの実験を計画していた。1つ目の『視床下部におけるIL-18産生細胞の同定』については計画通りに遂行し、実験を完了した。得られた研究成果は学術雑誌に投稿し、受理され掲載が決まっている。2つ目の『視床下部GnRHニューロンの培養細胞株を用いたIL-18添加実験』については、成果の一部を学会にて発表した。しかしながら、現在進行中の実験もあり、その成果については29年度内に得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は前年度に残った課題を引き続き進めていくとともに、研究計画に従い、研究を遂行していく予定である。すなわち、拘束ストレスモデルマウスを作成し、視床下部内のIL-18産生細胞の変化とGnRHニューロンの関係を目指す。またIL-18遺伝子欠損マウスにおいても同様のモデル動物を作成し、GnRHニューロンへの影響を検討する。また、29年度は本課題の最終年度であるため、研究の総まとめを重点とし、さらには新しい課題への着手を目標に研究をすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度内に行う予定であった培養実験が現在進行中であり、次年度も引き続き行う予定であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
計画通りに遂行できなかった今年度の実験と、平成29年度に予定している実験と合わせて、主として実験試薬や器具などの購入にあてる予定である。
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