研究課題/領域番号 |
16K18992
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山崎 修 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80757229)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 重炭酸輸送 / 膵生理 / カルシウムシグナリング |
研究実績の概要 |
●ナトリウム重炭酸共輸送体NBCe1Bのアフリカツメカエル卵母細胞発現系を用いた機能解析 NBCe1Bのmaster regulatorと考えられるIP3受容体結合蛋白IRBITに影響を及ぼすCalcineurin,およびCalcineurinに作用する物質について、機能解析を行った。Calcineurin存在下で、NBCe1B+IRBIT複合体の重炭酸輸送機能は著明に活性化した。そのため、申請者はCalcineurinが細胞内Ca2+-Calmodulin依存性脱リン酸化酵素として働くことに着目し、Calmodulin kinase(CaMK)について同発現系を用いて実験を行った。 驚くべきことに、CaMKは、NBCe1B+IRBITの共発現下において、抑制的に作用することが示された。更に、この抑制作用はCaMKのアフリカツメカエル卵母細胞へのRNA注入量に比例しておこることが示された。このことから、CaMKもまた新規regulatorとして重炭酸輸送に関与することが示唆された。 ●プルダウンアッセイ法を用いた蛋白相互作用の解析 CalcineurinおよびCaMKについて、NBCe1B, IRBITとの相互作用があるかどうかをプルダウンアッセイ法を用いて検討した。NBCe1BのN末端部位にIRBITが結合することが知られているため、NBCe1BのN末端部位のみの変異体を作成し、結合部位を確認した。CalcineurinについてはNBCe1Bのアミノ酸96~429番目、CaMKについてはアミノ酸1~95番目の部位により強く結合することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
重炭酸輸送において、Calcineurinと関連のある、新たなregulatorであるカルモジュリンキナーゼについて追加検討を加える必要が生じたため、アフリカツメカエル卵母細胞系を用いた機能解析について、当初想定されていたよりもより多くの実験検討を必要とすることになったため。 また、現在カルモジュリンキナーゼを含むregulatorについて、当初共免疫沈降法を用いたが、想定された結果が得られず、蛋白相互作用をプルダウンアッセイ法により確認する必要に迫られた。そのため、実験計画の見直しが必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で得られている知見から想定される理論構築を強固なものとするため、アフリカツメカエル卵母細胞発現系における実験を推進する。また蛋白相互作用については、プルダウンアッセイ法により良好な結果が得られたため、同研究を継続することで、複雑に絡み合ったカルシウムシグナリングおよび重炭酸輸送の機能活性のメカニズムを解明していく。 そのうえで、マウス使用も含めた実験を検討していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定されていた研究に対し、アフリカツメカエル卵母細胞発現系機能解析実験およびプルダウンアッセイ法を用いた蛋白相互作用解析により注力して実験を行う必要に迫られた。 そのため、アフリカツメカエル卵母細胞発現系機能解析実験に必要なRNA作成キット・およびプルダウンアッセイ法に関わるDNAプレップキット・細胞培養系を中心に使用することになり、相対的に次年度使用額が生じる原因となった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画にもあったアフリカツメカエル卵母細胞発現系実験系・蛋白相互作用解析を行うのみならず、蛍光イメージング法をもちいたNBCe1Bの機能解析を行う事で、より理論構築を強固とする。また、in vitroの実験が終了したら、マウスを用いた実験についても検討を加える予定とする。 そのため、既存のRNA作成キット・遺伝子導入に関わる物品のみならず、蛍光プローブやマウス飼育に関わる予算を計上する予定である。
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