研究課題/領域番号 |
16K18996
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
姫野 友紀子 立命館大学, 生命科学部, 助教 (10534365)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 洞房結節細胞 / 心房細胞 / 心室細胞 / iPS心筋細胞 |
研究実績の概要 |
我々の研究グループで開発した心室筋細胞モデル(HuVEC)は、細胞内Ca2+濃度分布を詳細に再現できるモデルである。そのモデルをベースに洞房結節ペースメーカー細胞モデルを構築するというのが本研究課題の目的である。
現在iPS心筋細胞を用いた実験で得られる、心室筋細胞タイプ、心房筋細胞タイプ、洞房結節ペースメーカー細胞タイプの3つのタイプの心筋細胞の電気活動のモデル化を進めている段階である。この結果から、細胞タイプの違いはすべて、細胞膜に発現しているイオンチャネル電流の組み合わせで表現することができる可能性が示唆されており、ヒト洞房結節ペースメーカー細胞モデルの構築へ向けての大きな一歩となった。
iPS心筋細胞については、実際の動物の心筋細胞と比べて研究の歴史が浅いため、研究知見がまだあまり蓄積されていない。しかし一方で、現在、その治療や応用への実現可能性から精力的に研究が進められている分野でもある。我々が着目している細胞内Ca2+動態についても、iPS心筋細胞ではまだ確立されたメカニズムが提唱されているわけではない。したがって、洞房結節ペースメーカー細胞モデル構築の際には、イオンチャネルについては参考にできる部分も多いと考えられるが、細胞内Ca2+についてはむしろ洞房結節ペースメーカー細胞で得られた知見を、心筋としての発達が未熟なiPS心筋細胞内のCa2+動態に当てはめて考えていくのが妥当であろうと考えた。iPS心筋細胞の活動電位のモデル化を通して、様々な細胞タイプの特徴を整理し、共通のメカニズムや特徴的な点を明らかにしていくことの重要性を再認識できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は洞房結節ペースメーカー細胞のCa2+ handlingについて論文調査を行い、モデルの調整を進める予定であったが、こちらはまだ論文調査の段階で調整にまでは至っていない。しかし、iPS心筋細胞の活動電位波形の再現をするためのモデル開発は進んでいるため、研究としては着実に前進している。
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今後の研究の推進方策 |
iPS細胞モデルの完成を目指すとともに、その細胞タイプの分類の背景にあるメカニズムの解明を行い、ヒト洞房結節ペースメーカー細胞における最新の実験知見と整合性をとっていく作業を行う。特に、当初より着目しているCa2+動態について、iPS細胞での情報はまだあまり明らかになっていないため、注意して研究を進める必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入に充てていた分の支出がなかったため、当該年度の支出額が低くなった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は産休に入り、科研費の期間を延長する予定である。それに伴い、謝金の支払いも延長する可能性があり、その場合は当該年度の繰り越し分を充てる。
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