研究課題
洞房結節(SAN)ペースメーカー細胞では、3種類の電位依存性Ca2+チャネルの分子実体が明らかになってきており、それぞれT型Caチャネル(CaV3.1)、L型Caチャネル(CaV1.2, CaV1.3)と呼ばれている。従来のSANペースメーカー細胞モデル(Sarai et al. 2004、Himeno et al. 2008)には、T型Caチャネル1種類と、L型Caチャネルが1種類のみしか組み込まれていなかったが、ペースメーカーメカニズムにおける各Caチャネルの役割を詳細に評価するために、これらを実験データから新たにモデル化して組み込んだ。モデル化にあたって、Mesircaら (2015) のマウスSANで取得された電気生理学実験データを参照して、状態遷移速度を求めた。また、ヒト心室筋細胞モデルで開発されたCa2+放出ユニットモデル(Hinchモデル、2004)と同じ枠組みをSANペースメーカー細胞モデルにも導入するために、Caチャネルをリアノジン受容体チャネル(RyR)と共役する形で組み込む必要があった。新規にモデル化したCaチャネルを組み込んだところ、T型Caチャネルは従来考えられていたよりも大きなwindow currentを持っている可能性があるということ、そして、これまでのSANペースメーカー細胞モデルで使用されてきたL型Caチャネルモデルは、CaV1.2とCaV1.3の中間的なものであったことが示唆された。CaV1.3はCaV1.2と比較するとより負電位側に膜電位依存性があり、最大拡張期電位を浅く保つことにより、ペースメーカーリズムを促進する役割が顕著に見られた。
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