ATP(アデノシン三リン酸)は動物の各細胞で生合成され、あらゆる細胞機能に利用されるエネルギー代謝分子であり、その細胞内濃度は神経興奮性に影響を与えうることが知られる。しかし生きた動物の脳内では、エネルギー消費活動に合わせたエネルギー合成促進機構が存在するため、脳活動に伴い細胞内ATP濃度が変動するのか、あるいは常に一定に保たれているのか不明であった。本研究はATPの蛍光プローブを細胞質に発現するノックインマウスを用い、生きたマウス脳の細胞内ATP動態を計測する光ファイバ計測システムを構築した。このシステムを用い、マウスの睡眠覚醒に伴う大脳皮質の細胞内ATP動態を明らかにした。
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