研究課題/領域番号 |
16K19010
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
託見 健 日本医科大学, 医学部, 講師 (40553269)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | キスペプチン / 視床下部 / 神経回路 |
研究実績の概要 |
キスペプチンは哺乳類の生殖機能に必須の神経ペプチドである。視床下部においてキスペプチンを産生するキスペプチンニューロンは生殖機能に影響をする様々な情報を統合していると考えられる。これまで性ステロイドホルモンによるキスペプチン発現の調節について多くの報告がなされてきたが、キスペプチンニューロンを取り巻く神経回路網については不明な点が多く残されている。本研究ではキスペプチンニューロンへ神経投射している神経細胞集団を同定し、それらの特徴を明らかにすることを目的としている。 今年度は第1段階としてキスペプチンニューロンに特異的に遺伝子を発現させるアデノ随伴ウイルスの作製を試みた。ラットのキスペプチン遺伝子であるrKiss1の上流領域に続いてレポーター遺伝子としてEGFP遺伝子を含むコンストラクトの作製が終了した。しかしながら、アデノ随伴ウイルスの作製段階でITR間の長さに不都合があることが判明したため、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンの可視化のために確立し使用実績のあるGnRHプロモーターとEGFP遺伝子を含む発現ベクターを利用して作製し直す方向に転換した。制限酵素サイトが限られていたため、作製したrKiss1上流領域とEGFP配列で構成されるインサートを一旦クローニングベクターに挿入し、再度切り出しGnRHニューロン用のベクターに挿入するという手法を用い、コロニーPCRによるセレクションを行ったが、現在までポジティブなクローンが得られておらず、ウイルスの作製までいたっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
キスペプチン遺伝子上流領域とレポーター遺伝子を含むベクターの作製に一旦は成功したものの、ウイルス作製の段階でベクターを作製しなおす必要が生じた。すでに手元にあるベクターを改変して作製を試みたが、ポジティブなクローンが得られず、ウィルス作製までいたっていない。結果、当初計画していた動物への投与実験を実施できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きベクターの作製を続けるとともに、並行して神経トレーサーによる神経投射の可視化と投射元の神経細胞集団の同定を試みる。具体的にはラットのキスペプチンニューロンの存在する前腹側室周囲核と弓状核に逆行性トレーサーを微量注入し、投射元の神経核を同定する。続いて、GAD、THなど各種神経伝達物質のマーカータンパク質との二重免疫染色により投射元集団候補の特徴を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりウイルス作製が遅れ、動物への投与実験など計画していた実験が行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続きベクター、ウイルス作製に必要となる試薬類、実験動物、免疫組織化学に用いる抗体の購入に充てる予定である。
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