研究課題/領域番号 |
16K19019
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
白藤 俊彦 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (30595765)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / リン酸化 / プロテオーム / PKC / CSPalpha / プレシナプス |
研究実績の概要 |
本研究は、Protein kinase C (PKC)gammaの機能破綻により起こるパーキンソン病に着目し、その発症メカニズムを解明し、動物モデルを作製し、新規パーキンソン病治療法を開発することである。 現在までに、PKCgammaノックアウトマウスを用いて、パーキンソン病発症に関与するPKCgammaの基質をリン酸化プロテオームにより10個同定しており、その中で、プレシナプスのシナプス小胞に局在するHSP40の1つである、Cysteine string protein(CSP)alphaに着目し、PKCgammaによるCSPalphaのリン酸化(serine 10とserine 34)がHSP70のシャペロン活性を亢進させ、SNARE複合体の1つであるSNAP25へのシャペロンの働きをすることで、ドパミン神経細胞のプレシナプスを保護し、神経変性から守っていることを示した。 この結果は、ドパミン神経においてドパミン遊離に重要な働きをしているPKCgammaが同時にプレシナプスを保護することで神経変性防止に働いていることを示唆している。 神経変性疾患における神経変性がプレシナプスから起こることが報告されており、またPKCのリン酸化活性が年齢依存的に低下することから、このPKCgammaによるCSPalphaのリン酸化(serine 10とserine 34)を促進させることがパーキンソン病をはじめとした神経変性疾患の治療に応用できることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的として、リン酸化プロテオームで同定したPKCgammaの基質の中で、パーキンソン病に関連するドパミン神経細胞死に関与するCSPalphaのリン酸化部位、その神経細胞死に至るメカニズムを解明できており、また、以前に同定したbetaPIXのリン酸化がドパミン遊離に重要であることも解明できている。 これらのCSPalpha,betaPIXのリン酸化部位を改変した動物モデルの作製の準備にとりかかっており、研究はおおむね順調に進捗しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
パーキンソン病発症に関与するPKCgammaの基質をリン酸化プロテオームにより10個同定している。そのうちの2個については、そのパーキンソン病症状発症のメカニズムを解明している。引き続き、残り8個についても、そのリン酸化とパーキンソン病症状発症のメカニズムを解明する。 また、CSPalpha,betaPIXについては、動物レベルでのリン酸化部位改変動物の作製の準備中であり、このマウスを用いて、線条体ドパミン遊離、神経細胞死などの解析を行う予定である。
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