研究課題/領域番号 |
16K19024
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
田頭 秀章 福岡大学, 医学部, 講師 (90735028)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 循環器 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアは細胞のエネルギー源となるATPを産生するとともに、アポトーシスの制御、活性酸素種(ROS)の生成およびCa2+の貯蔵庫など、多様な機能を担うオルガネラである。特に、心臓において、ATP産生と細胞内Ca2+制御はポンプ機能の維持に必須であり、また一方、ROS生成は心不全の病態形成に密接に関与しており、ミトコンドリアは注目すべき心臓病の創薬標的であるといえる。本研究では、心筋ミトコンドリアCa2+輸送異常に基づく心不全発症機序の解明を目的として、最近独自に作製した新規ミトコンドリアCa2+輸送体遺伝子改変マウスおよび薬理学的ツールを用い、in vivoおよびin vitro実験を実施する。さらに、ミトコンドリアCa2+輸送体を分子標的とした心不全治療応用の可能性についても追究し、最終目標として、ミトコンドリアCa2+輸送体を分子標的とした新しい心不全治療戦略を提案したいと考えている。本年度は、ミトコンドリアCa2+輸送体遺伝子改変マウスを作製することに成功し、現在、心機能について、心重量/体重比、心肥大マーカー発現量、心臓の病理組織(HE・アザン染色)、血圧・心拍数・心電図測定装置等を用いて野生型マウスと比較し、解析を進めている。現時点の予備的検討において、いくつかの遺伝子改変マウスにおいて心肥大が誘導されることを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミトコンドリアCa2+輸送体遺伝子改変マウスを作製することに成功し、現在、心機能について、心重量/体重比、心肥大マーカー発現量、心臓の病理組織(HE・アザン染色)、血圧・心拍数・心電図測定装置等を用いて野生型マウスと比較し、解析している段階である。いくつかの遺伝子改変マウスにおいて心肥大が誘導されることも確認しており、現在マウスの掛け合わせにより、複数のミトコンドリアCa2+輸送体遺伝子改変マウスの作製に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、前述した目的を達成するために、各種ミトコンドリアCa2+輸送体遺伝子欠損マウスの心機能について引き続き解析し、野生型マウスと比較する。また、各種ミトコンドリアCa2+輸送体遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスから心筋細胞を単離・培養し、各種Ca2+蛍光色素およびCa2+ imagingプローブを用いて、細胞質Ca2+シグナル、ミトコンドリアマトリックスおよび小胞体-ミトコンドリアマイクロドメインの局所Ca2+シグナルをイメージング解析する。また、これらマウスの掛け合わせを行うことにより各種ミトコンドリアCa2+輸送体遺伝子欠損マウスで見出された心筋形態学的・機能的変化に対して、心臓に限定したレスキュー実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、マウスの維持と予備実験の消耗品および人件費のみの使用となり、本格的に本研究を遂行する来年度に一部の経費を繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度より本格的にマウスの表現型解析および培養実験を実施するため、実験の必要機器および消耗品に多くの経費を使用する予定である。
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