研究課題
研究代表者は、GLO1遺伝子の転写発現をオンにする反復配列の新規遺伝子多型を新たに見出した。このプロモーター遺伝子多型の発現頻度には個人差があることも明らかになった。さらに、本遺伝子多型に特異的に結合するヒストンを同定し、GLO1遺伝子の転写発現調節機構にエピゲノム調節が鍵を握ることも明らかにした。新たに同定したヒストンとその修飾に焦点を当てGLO1遺伝子転写発現調節機構の全貌解明を試みた。その結果、GLO1遺伝子多型特異的なエピジェネティックな変化を新たに見出すことに成功した。このエピジェネティックな変化が、GLO1の転写亢進に関与していることも明らかとなった。また、臨床検体を用いた検討を行った結果、GLO1反復配列内の遺伝子多型と糖尿病合併症の発症進展の間には相関がみられた。これにより、GLO1遺伝子多型が糖尿病合併症の新たなバイオマーカーとなるとともに治療ターゲットとなる可能性がある。今後は、GLO1反復配列内の遺伝子多型と統合失調症の発症進展の関連について臨床検体を用いて検討を行う予定である。また、各種刺激やストレスによってGLO1遺伝子多型の発現頻度の変化についての検討も行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
エピジェネティックな変化に焦点を当てGLO1遺伝子転写発現調節機構の全貌解明を試みた。その結果、GLO1遺伝子多型特異的なエピジェネティックな変化を見出すことに成功した。このエピジェネティックな変化が、GLO1遺伝子多型の転写亢進に関与していることも明らかとなった。1型糖尿病患者の末梢血DNA臨床検体を用いた検討を行った結果、GLO1反復配列内の遺伝子多型と糖尿病合併症の発症進展の間には相関がみられた。
GLO1反復配列内の遺伝子多型と統合失調症との発症進展の関連について臨床検体を用いて検討を行う予定である。酸化ストレス、糖化ストレス、低酸素、高血糖などのストレス下におけるGLO1遺伝子転写発現およびGLO1遺伝子多型の検討も行う予定である。本研究によりGLO1遺伝子の転写発現調節機構が解明され、1型糖尿病、統合失調症とGLO1の転写発現調節機構の関連が明らかになることで様々な疾患に対する新規治療薬の開発・臨床応用につながる可能性がある。
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