研究課題
本研究の目的は、マウス乳腺上皮組織を幹細胞解析系のモデルとし、細胞極性タンパクaPKC (atypical protein kinase C)が乳腺幹及び前駆細胞の増殖や分化をどのように調節するかを解明することである。昨年度までに、aPKCによる幹細胞関連因子の直接リン酸化が、乳腺の幹細胞機能の調節に関与する結果を得ていた。本年度は、このリン酸化シグナル伝達の一端を明らかにすることを目的とし、aPKCをベイトとした結合タンパク質の精製と質量分析による同定を試みた。まず、精製用のタグを付加したaPKC発現ベクターを細胞に導入し、タグ付きaPKCを安定的に発現する株を薬剤選択で樹立した。次に、この安定発現株を大量に培養して回収し、細胞抽出液を調整した。そして、精製用のタグを用いてタグ付きaPKCを細胞抽出液から精製した。得られた精製分画を電気泳動して銀染色を行い、ベイト及び共精製された結合タンパク質を可視化した。これら結合タンパク質をバンド毎に切り出し、質量分析によるタンパク質の同定作業を行った。その結果、新たなaPKC結合タンパク質をいくつか見出すことに成功した。そして、結合タンパク質を認識する抗体を用いて、精製分画に対してイムノブロットを行い、aPKCと確かに結合していることを確認した。現在、これらaPKC結合タンパク質が幹細胞関連因子のリン酸化プロセスにどのように関与するのか、乳腺の幹細胞機能をどのように調節するかという一連の解析を進めている。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)
Aberrant Nuclear Localization of aPKCλ/ι is Associated With Poorer Prognosis in Uterine Cervical Cancer.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi: 10.1097/PGP.0000000000000539