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2016 年度 実施状況報告書

BMP-ALK1シグナル下流遺伝子Tmem100による心血管形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K19044
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

片山 由美  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (20570675)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードTmem100 / 胎生期心血管 / 遺伝子発現制御
研究実績の概要

心血管系の発生・形態形成における分子メカニズムの解明は、基礎研究のみならず臨床的にも意義のある研究である。加えて、先天性心血管奇形は新生児に高頻度に生じるが治療困難な症例も多いため、その原因の解明、治療ターゲットの同定が切望されている。Bone morphogenetic protein (BMP)によるALK1受容体の活性化を起点とする内皮細胞シグナル伝達系は、胎生期の血管形態形成に必須の役割を果たす。申請者の所属研究室では、ALK1シグナルによってヒト培養内皮細胞における発現が顕著な亢進を示す膜タンパク質Transmembrane protein No.100(Tmem100)を、内皮特異的な新規ALK1下流因子として同定した。
Tmem100のノックアウトマウスは心血管形成異常により胎生致死であり、Tmem100が正常個体発生に必須であることは明らかであるが、Tmem100の発現制御機構や分子機能には不明な点が多い。また、Tmem100の発現制御メカニズムは既知のALK1シグナル下流遺伝子群とは全く異なり、新たなタンパク質の合成を介した遠位エンハンサーのエピゲノム調節によることを示唆する結果も得られている。
そこで、本研究では、Tmem100について、①胎生期の血管内皮特異的発現の制御メカニズムと②心内膜の内皮間葉転換とカルシウムシグナルに焦点をあてた分子機能を明らかにすることを目的とする。
本研究により、新しい心血管形態形成の必須因子Tmem100のALK1シグナルを中心とした発現調節様式、および、分子機能を検討し、心血管形態形成の新たな制御メカニズムの同定を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画以下のことを実施することができ、おおむね順調に進展している。
①Tmem100の発現制御メカニズムは既知のALK1シグナル下流遺伝子群とは全く異なり、新たなタンパク質の合成を介した遠位エンハンサーのエピゲノム調節によることが示唆されるこれまでのデータから、Tmem100遺伝子上流および下流約200kbの染色体DNAを含むBACクローン2種類を用い、大腸菌内相同組換えによってノックインLacZレポーターを作製した。これらのBACレポーターのトランスジェニック(Tg)マウスを作成してLacZ発現を解析したところ、Tmem100遺伝子下流216kbを含むBACクローンにおいて内在性Tmem100発現パターンを再現する胎生期血管特異的エンハンサーが存在すると考えられた。このBACクローンに含まれる長大な塩基配列から数種類の欠失変異体を作製し、胎生期のLacZ発現パターンを解析した結果、内在性Tmem100発現パターンを再現する内皮特異的エンハンサーを含むと考えらえる領域を約37kbまで絞り込むことに成功した。
②心内膜の内皮間葉転換とカルシウムシグナルに焦点をあてた分子機能については、心内膜内皮特異的Tmem100欠損マウスを作成し、内皮間葉転換・遊走・増殖の異常の有無を検討した。

今後の研究の推進方策

Tmem100の胎生期内皮特異的発現に必要十分なエンハンサー領域を決定するため、37kbの領域からさらに数種類の欠失変異体を作製し、そのTgマウス胚におけるレポーター発現パターンを解析する。同定したエンハンサー領域に結合するタンパク質(DNA結合型転写因子やコファクター分子を候補とする)を分子生物学的手法により同定するとともに、3C解析などにより高次エピゲノム転写調節機構を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

必要物品購入、学会参加など有効に利用させて頂いたが、実際は昨年度使用予定額より少なかったため次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

今年度の予算と併せて研究が順調に進むよう有意義に利用させて頂く。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Cancer cells induce metastasis-supporting neutrophil extracellular DNA traps2016

    • 著者名/発表者名
      Park J, Wysocki RW, Amoozgar Z, Maiorino L, Fein MR, Jorns J, Schott AF, Kinugasa-Katayama Y, Lee Y, Won NH, Nakasone ES, Hearn SA, Küttner V, Qiu J, Almeida AS, Perurena N, Kessenbrock K, Goldberg MS, Egeblad M.
    • 雑誌名

      Science Translational Medicine

      巻: 8 ページ: -

    • DOI

      10.1126/scitranslmed.aag1711

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 胎生期血管内皮遺伝子TMEM100の心血管形態形成における発現制御機構の解析2016

    • 著者名/発表者名
      片山由美、渡邉裕介、冨松彩佳、佐藤玄基、岩田裕子、荒井勇二、斎藤能彦、中川修
    • 学会等名
      第24回日本血管生物医学会学術集会/第14回日韓血管生物合同シンポジウム
    • 発表場所
      長崎市
    • 年月日
      2016-12-08 – 2016-12-10
  • [学会発表] 胎生期血管内皮遺伝子Tmem100の心血管形態形成における発現制御機構と分子機能の解析2016

    • 著者名/発表者名
      片山 由美、岩田 裕子、冨松 彩佳、渡邉 裕介、斎藤 能彦、中川 修
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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