研究課題
これまでの研究によりTmem100が胎生期の心血管形態形成において必須であることを示していたが、その分子機能や発現制御機構は未だ不明のままであった。本研究では、Tmem100の発現制御機構の同定を目指しTmem100遺伝子上流および下流約200kbの染色体DNAを含むBACクローン2種類を用い、大腸菌内相同組換えによりLacZレポーターを作成し、トランスジェニック(Tg)マウス胎仔における発現パターンを解析した。その結果、Tmem100遺伝子下流164kbを含むクローンにおいて内在性Tmem100発現パターンを再現する胎生期中・大動脈血管特異的な血管内皮細胞発現を示した。このクローンの数種類の欠失変異体を用い、内在性Tmem100発現パターンを再現する内皮特異的エンハンサーと考えらえる領域約37kbを同定した。さらに数種類の欠失変異体を作製し、Tmem100遺伝子座より70kb離れた約2kbの領域が血管内皮発現に必要十分な新規エンハンサーとして働くことを明らかにした。この領域はヒトにおいても高く保存されており、マウス、ヒトのTmem100エンハンサー領域を同定できたと考えられる。同定したエンハンサーの活性を制御する転写因子についての検討もおこなった。またTmem100の研究を行う上で抗体は必須であると考えられるが、Tmem100に対する抗体はこれまでに数種類試みているが解析に有用な良い抗体を得ることができないのが現状である。そこで、内在性Tmem100発現パターンを再現するBACクローンのEGFPレポーターTgマウスラインを作製した。これは、Tmem100発現をEGFPレポーターで解析でき、抗体を用いずTmem100発現細胞を回収することができる非常に有用性の高いツールである。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Angiogenesis
巻: 2018 May;21(2) ページ: 415-423
10.1007/s10456-018-9605-x.