研究課題
慢性炎症は肥満、糖尿病、動脈硬化、加齢など幅広い病態の発症進展に関与する。近年、炎症反応等によって生成された一酸化窒素がシステイン残基のチオール基をS-ニトロソ化する翻訳後タンパク質修飾機構があることが明らかとなった。申請者は世界に先駆けタンパク質のS-ニトロソ化を網羅的に検出する鋭敏な測定方法を確立し、S-ニトロソ化がインスリン抵抗性や中枢神経疾患発症の原因となることを明らかにした。本研究の目的は、老年症候群(認知症、サルコペニア、内臓脂肪型肥満)の病態形成におけるS-ニトロソ化を介する代謝(メタボリック)・リプログラミングの役割を明らかにすることである。これまでの研究成果をもとに、メタボリックシンドロームの発症メカニズムにおけるS-ニトロソ化を介したメタボリック・リプログラミングの関与を明らかとするため、臓器特異的GSNOR-KOマウス、培養細胞や臨床サンプルを用いて、 S-ニトロソ化がメタボリックシンドロームの発症を惹起するメカニズムについて解析をすすめた。研究期間内には以下の項目について取り組んだ。前年度において先行的にすすめていたS-ニトロソ化を軽減する可能性のある化合物の検索で、培養細胞系で検討したところ、可能性のある天然由来の成分の発見に至った。そのため、動物に投与することによっても効果が得られるか確認した結果、良好な成績を得ることができた。① 培養細胞を用いて、DNAおよびヒストンメチル化/脱メチル化酵素のうちS-ニトロソ化される酵素の同定。② 臓器特異的GSNOR-KOマウスにおける、S-ニトロソ化がインスリン抵抗性およびエピジェネティクスに与える影響。③ 食品由来の成分によるメタボリックシンドローム予防効果。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Open Access Journal of Foood and Nutrition
巻: 1 ページ: 1-10
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 6618
10.1038/s41598-017-07011-3
PLOS ONE
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