間歇的低酸素 (IH) に対する血管平滑筋細胞 (VSMC) の細胞内応答メカニズムを解明し、閉塞性睡眠時無呼吸による心血管病の発症・進展の鍵となる分子を同定することを目的として研究を行ってきた。本年度の主な実績は、これまで得た知見を論文にするとともに国際学会にて発表し、これまでの結果を糧に今後の研究の下準備をしていたことである。 発表した論文は、proceeding paperを含む2報で、FEBS Open Bio (doi: 10.1002/2211-5463.12430.) およびDiabetes (doi: 10.2337/db18-472-P) である。 学会発表は、American Diabetes Association 78th Scientific Sessions (2018.6. Orlando) と18th World Congress of Basic and Clinical Pharmacology (2018.7. Kyoto) である。 今後の下準備に関しては現在も進行中である。これまでに我々は、IHはVSMCにおいて細胞増殖等に関与するEREGと炎症反応に関わるインターロイキン (IL)-6を増加させ、その結果として細胞増殖を引き起こすことを明らかにした。その過程でpromoter assayを行ったところ、IHによるEREG promoter領域の活性化を認めなかった。これは、IHにおいて活性化するとされるnuclear factor-κBまたはhypoxia-inducible factor-1がIHによるEREG増加に寄与しないことを示唆している。またmicroRNAに関しても否定的な結果であった。そこで、各種実験条件や新たに実行できる研究方法の見直しをおこない、現在これまでと違った方法で本研究課題を成し遂げるための下準備を行っている。
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