研究課題
多発性骨髄腫(MM)は免疫調節薬(IMiDs)の登場により予後の改善が認められているが、これらでも抵抗性を示す多発性骨髄腫症例が存在しており新規薬剤の開発が急務である。本研究ではIMiDs 抵抗性を示す分子機序を解明することを目的とした。前年度までに IMiDs感受性及び耐性細胞株において遺伝子発現量の差異について、cRNA microarrayからGSEA及びクラスター解析を行った。その結果、GSEA よりレナリドミド処理のみでエンリッチされたものはP53 PATHWAY 群のみであった。一方クラスタリング解析では、レナリドミド感受性株で刺激依存的に減少するものとして50 spots、刺激依存的に上昇するものとして132 spots が得られた。さらにタンパク質についても同様な発現変動が認められたものとしてBNIP3, DCAF4L2, STAP2 が得られた。これらを各々ノックダウンすることでレナリドミドの感受性に影響するのかをレトロウイルスを用いて検討した。しかしノックダウンしてもレナリドミドで誘導される細胞死が回復されなかった。一方、我々はこれまでにサリドマイド誘導体として合成したTC11がIMiDsとは異なる機序により細胞死を誘導すると考えているが、まだ詳細な機序についてはわかっておらず、その分子機構についても解析を行った。その結果、TC11はIMiDsとは異なりCRBNに結合しないこと、またその基質の分解を引き起こさないこと、さらにCRBNをノックダウンしたMM細胞株においてもレナリドミド誘導細胞死を抑制しなかったことが明らかになった。これらのことから我々はTC11がCRBNとは非依存的に細胞死を誘導することを示した。さらにIMiDsとは異なりa-tubulinの重合阻害及び、G2/M期停止を引き起こすことにより細胞死を誘導していることを明らかにした。
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