研究課題/領域番号 |
16K19061
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
梅田 香織 日本大学, 医学部, 助手 (10445744)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | NKT細胞 / LXR / 核内受容体 / 肝炎 |
研究実績の概要 |
本研究課題は研究代表者による先行研究によって得られた核内受容体liver X receptor(以下LXR)欠損マウスの肝臓においてナチュラルキラーT(以下NKT)細胞が顕著に減少するという知見に基づき、NKT細胞依存性炎症反応や抗腫瘍活性に対するLXRの影響を解析することを目的とする。今年度はNKT細胞活性化に対するLXR活性化およびLXR欠損の影響を検討した。 1、野生型またはLXRα/βダブル欠損(以下LXR欠損)マウスにコンカナバリンA(以下Con-A)を尾静脈投与後、継時的に採血を行い血中トランスアミナーゼ値およびサイトカイン濃度を測定した。その結果、予想に反し肝障害はLXR欠損マウスにおいて増悪しトランスアミナーゼ値の増加を認めた。血中サイトカイン値を測定したところ、Con-A投与後誘導されるIL-4はLXR欠損マウスにおいて有意に減少していたのに対し、IFN-γはLXR欠損マウスにおいて顕著に増加した。 2、野生型マウスより肝臓免疫細胞を単離し、LXRアゴニストを添加後NKTリガンドであるα-ガラクトシルセラミド(以下α-GalCer)で刺激し、NKT細胞活性化に対するLXR活性化の影響を検討した。リアルタイムPCRを用いてIl-4またはIfng発現を評価したところ、α-GalCer誘導性サイトカイン発現に対しアゴニストの効果は認められなかった。 以上の結果から、まずCon-A投与の検討から、LXR欠損マウスにおいてNKT細胞依存性のIL-4産生は減少するが、その代償としてT細胞など別の免疫細胞が活性化しIFN-γ産生が亢進した可能性があり、LXR欠損によるNKT細胞減少が肝障害に対する応答性に多大な影響をもたらすことが示された。また、in vitroの検討により成熟したNKT細胞の活性化に対しアゴニストによるLXRの活性化は影響しないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究により、LXR欠損マウスの肝臓においてNKT細胞が顕著に減少し、α-GalCerに対する応答性を消失することを見出した。昨年度は別の肝障害モデルであるCon-A投与モデルを用いてLXR欠損の影響を検討した結果、LXR欠損マウスは肝障害は増悪するにも関わらず血中IL-4の顕著な産生低下を認めた。肝臓におけるIL-4産生は主にNKT細胞が担うことから、複数の肝障害モデルを用いてLXR欠損によるNKT細胞の機能低下を示すことで昨年度の課題を達成できた。一方、予想に反し同モデルにおいてIFN-γ値は顕著な増加を認めた。これはNKT細胞など肝臓に存在する複数の免疫細胞の恒常性がLXR欠損により障害され、代償的にT細胞などの細胞が活性化した可能性が示唆された。NKT細胞の減少が別の細胞の応答性に多大な影響を及ぼす興味深い結果を得た。 次に、培養した肝免疫細胞においてα-GalCer刺激に対し、アゴニストによるLXRの活性化は影響しない結果を得たことから、成熟したNKT細胞の活性化、サイトカイン産生にLXRの活性は必要ではないことを明らかにした。 以上、昨年度の検討により、研究課題の第一の課題である「NKT細胞誘導性炎症モデルによるLXR活性化または欠損の影響」の検証を達成したことから、研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はNKT細胞の主要な機能である抗腫瘍活性に対するLXRの活性化または欠損の影響を以下の項目に基づいて検討する予定である。 1、in vitro培養系における抗腫瘍活性評価系の構築を行う。がん細胞はマウスT細胞リンパ腫由来であるEL-4またはYac-1細胞を用いる。LXRアゴニストによる活性化の効果、またはLXR欠損の効果を比較する。 2、上記1、の検討と並行してがん細胞投与によるin vivo肝転移モデルの構築を行う。移植する細胞は同様にEL-4またはYac-1細胞を用いる。これらの細胞をマウスに投与後経過を観察する。実験系が構築後、LXRアゴニスト投与による活性化の効果、またはLXR欠損の効果を比較する。 3、上記1、2においてLXR有無による何らかの効果が確認された場合、免疫細胞の単離および分布解析、NKT細胞との共培養系の構築、野生型-LXR欠損間の骨髄移植、などの検討を行う。
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