研究課題
突然死につながる可能性がある難治性の遺伝性不整脈疾患であるQT延長症候群は、未だ約2割の発症者において、その疾患原因遺伝子が明らかにされていない。そこで本研究で申請者は、既知疾患原因遺伝子に変異が確認されなかった発症者とその家族例を大規模に収集し、次世代シークエンサーを用いて全エクソームシークエンスによる家系解析を行い、新規疾患原因遺伝子の同定、発症機序の解明を目指す。申請者は、疾患原因変異の候補が全く見つからない家系にも着目し、そういった家系にはさらに、以下の方法で網羅的な変異探索を行う。一つ目が、市販のエクソームキットでの未解析領域に追加シークエンス解析、もう一つが、検出困難な長い挿入・欠失(long indel)の検出である。今年度申請者は、後者のlong indelの検出手法(IMSindel)の開発を重点的に行った。細胞株の2検体をシークエンスし、得られたデータを使ってlong indelの検出を行い、同定されたlong indelのすべてをサンガーシークエンスで実験的に検証した。また、他の検出手法(GATK, PINDEL)との比較、検証実験も行なった。評価法として適合率(Precision)と再現率(Recall)を採用した。現段階では、他の検出手法より高い精度でlong indelを検出することができた。今後さらなる向上を目的に、修正、検証を行い、最終的には手法のパッケージ化を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
家系解析は全て終了し、疾患原因変異の候補が全く見つからない家系に対する解析が現在進行中である。市販のエクソームキットでの未解析領域に追加シークエンスを行う解析と検出困難な長い挿入・欠失(Long indel)の検出を行う解析を検討しているが、後者の手法開発は順調に進んでおり、現在までの進捗としては順調であると考えられる。
今後の研究としては、まず高精度なlong indel検出手法の開発とパッケージ化、実際の検体への適応を考えている。その後、エクソームキット未解析領域の追加シークエンスの解析を進める予定である。最終的には、研究結果をまとめて成果発表をする予定である。
次年度に成果発表を行うことにしたため、使用額を持ち越すことにした。
遺伝学的、分子生物学的解析さらには検証を行なった後、成果発表を行う。
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