研究課題
STINGリガンド(cGAMP)の腫瘍内投与によってマクロファージが腫瘍内に集積してくるメカニズムを解析した。STINGの活性化経路に関与する転写因子、IRF3、IRF7、もしくはSTAT6を欠損した遺伝子改変マウスを用いてcGAMPによるマクロファージの腫瘍内浸潤に影響を及ぼすか検討した。その結果、いずれの遺伝子改変マウスにおいてもcGAMPの腫瘍内投与によって、マクロファージの浸潤が認められた。そこで、I型インターフェロン(IFN)の産生を完全に抑制するためにIRF3およびIRF7のダブル欠損マウスを用いた結果、マクロファージの浸潤が抑制された。さらにI型IFNの依存性を確認するためにI型IFNの受容体に対する抗体を用いた結果、同様にしてマクロファージの浸潤が抑制された。このことから、cGAMPによるマクロファージの腫瘍内浸潤はSTING/IRF3/IRF7経路を介してI型IFNsが誘導されることが重要であることが示唆された。次に、腫瘍内におけるI型IFNsの産生細胞を明らかにするために、STING欠損マウスを用いて骨髄キメラマウスを作成して検討した。放射線照射した野生型マウスにSTING欠損マウス由来の骨髄細胞を移植し、免疫系を再構築した後に、腫瘍細胞を皮内移植しcGAMPを腫瘍内投与した結果、マクロファージの腫瘍内集積が認められた。このことから、血球系ではなく血管内皮細胞や間質細胞によるI型IFNが重要であることが示唆された。同様に、STING欠損マウスに野生型マウス由来の骨髄細胞を移植した場合においても、cGAMPによってマクロファージの腫瘍内集積が認められた。このことから、腫瘍微小環境に既に浸潤している骨髄球系細胞によるI型IFNによってもマクロファージの腫瘍内集積を誘導することが示唆された。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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