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2017 年度 実績報告書

ピロリ菌感染に関連した胃癌発癌機構におけるグルタチオン分解酵素CHAC1の役割

研究課題

研究課題/領域番号 16K19077
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

伊藤 崇  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20516314)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードCHAC1 / H. pylori / cagA / glutathione / p53 / ROS
研究実績の概要

ピロリ菌感染に伴う細胞内活性酸素種(ROS)の蓄積やグルタチオン(GSH)の分解については多くの研究がなされており、感染細胞内におけるこれらの変化が最終的に酸化ストレスによるDNAダメージとなり、胃癌発生に寄与していると考えられている。近年、γ-glutamylcycle内の新たな酵素として、Cation transport regulator 1 (CHAC1)が同定された。CHAC1はGSHを5-oxoproline とcystenylglycineにダイレクトに分解できるため、数少ない細胞内に存在するredox balanceを維持する上で重要なGSH分解酵素の1つであると考えられている。そこで、本研究では、ピロリ菌感染細胞内のGSH及びROS量を測定し、さらにROS蓄積によるDNAダメージがもたらすTP53遺伝子変異の誘導について解析を行った。本研究の結果、cagA陽性ピロリ菌が感染したヒト胃上皮培養細胞(AGS)においてCHAC1の過剰発現が誘導され、その結果、GSHの分解、さらには活性酸素種(ROS)の蓄積を導くことを発見した。酵素活性を有するCHAC1を過剰発現させたAGSではTP53遺伝子の塩基置換が誘導され、一方、酵素活性を有さないCHAC1変異体を過剰発現させた場合には、その変異は一切認められなかった。また、cagA陽性ピロリ菌感染によるCHAC1の過剰発現によってもTP53遺伝子の塩基置換が誘導されたが、siRNAによりCHAC1発現を抑制した場合には、ピロリ菌の感染による遺伝子変異は完全に抑制された。このことから、ピロリ菌感染により誘導されるCHAC1の過剰発現が、感染細胞内のGSHを分解し、細胞内ROSの蓄積によるDNAダメージを誘導し、TP53遺伝子変異を惹起することで、ピロリ菌感染胃癌の発生に寄与していると推測される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] ジョン・カーティン医学研究所(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      ジョン・カーティン医学研究所
  • [雑誌論文] Helicobacter pylori induces somatic mutations in TP53 via overexpression of CHAC1 in infected gastric epithelial cells2018

    • 著者名/発表者名
      Wada Yuriko、Takemura Kosuke、Tummala Padmaja、Uchida Keisuke、Kitagaki Keisuke、Furukawa Asuka、Ishige Yuuki、Ito Takashi、Hara Yukichi、Suzuki Takashige、Mimuro Hitomi、Board Philip G.、Eishi Yoshinobu
    • 雑誌名

      FEBS Open Bio

      巻: 8 ページ: 671~679

    • DOI

      10.1002/2211-5463.12402

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2018-12-17  

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