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2016 年度 実施状況報告書

正常中皮・中皮腫特異的な糖鎖マーカーの開発と,その構造的・機能的解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K19078
研究機関福井大学

研究代表者

酒井 康弘  福井大学, 学術研究院医学系部門, 特命助教 (20754394)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード悪性中皮腫 / 硫酸化糖鎖
研究実績の概要

福井大学医学部附属病院で9例の悪性中皮腫・2例のadenomatoid tumor・2例の正常中皮症例を収集し,ホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いて中皮細胞に発現する糖鎖プロファイルを検証した.糖鎖をエピトープとする各種抗体を用いて免疫組織化学を施行し,中皮細胞上に発現する糖鎖はO型糖鎖コア2上に発現する6-硫酸化シアリルN-アセチルラクトサミンと推定できた.特に悪性中皮腫ではepithelioid・sarcomatoid・desmoplasitcのいずれの組織亜型でも陽性となったことから,悪性中皮腫の組織学的マーカーとしての役割が期待できる.
また悪性中皮腫株ならびに不死化中皮細胞株を複数入手し,コア2糖鎖構造の構築に必要なcore2 branching enzymeならびにN-アセチルグルコサミンの6-硫酸化に必要なGlcNAc6ST-2がmRNAレベルで発現していることを確認し,免疫組織化学的見地との整合性を確認した.
さらに糖鎖生物学的な解析をいくつか加えた.マウスの胸膜を採取してウェスタンブロット解析したところ,6-硫酸化糖鎖を含むタンパク質は250kD以上の大きさであり,この糖鎖はムチンなどの巨大分子上に発現していると考えられた.また各種硫酸転移酵素KSGla6ST・GlcNAc6ST-1・GlcNAc6ST-2欠損マウスを用いて検証し,これらのトリプルノックアウトマウスでは胸膜中皮細胞上に発現しているN-アセチルグルコサミンの6-硫酸化が行われていないことを確認した.これらの結果は,未知な部分が多い硫酸化糖鎖の生体内での発現分布や発現機構の解明に新たな知見を与えるものである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね研究計画通りに進行しており,研究計画を大きく遅延させるような要素は今のところは無い.

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に従って,研究を進めていく.
推定された糖鎖構造を詳細同定させるため,高速液体クロマトグラフィーや質量分析を行う.また胸膜の人体材料を収集して,ヒトでの糖転移酵素・硫酸転移酵素の発現を検証していく.
さらに,selectin・immunoglobulin chimera binding assayやlymphocyte adhesion inhibition assayを施行して,この硫酸化糖鎖の機能や生体内意義も調べていく.

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公開日: 2018-01-16  

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