研究実績の概要 |
名古屋大学病院で切除され、なんらかの脂肪肉腫と診断されている病変について、過去15年分にわたってプレパラートを見直し、さらにFISHや免疫染色も用いて、高分化型脂肪肉腫および脱分化型脂肪肉腫の症例を抽出した。診断においては、高分化型成分の確認と、MDM2の遺伝子増幅および発現増加を指標とした。また比較的壊死が少なく、比較的high gradeな部分を含む代表切片において、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本を収集した。それを用いて、炎症細胞浸潤の程度や細胞異型度についてスコアリングを行い、また主として免疫組織化学により、MDM2遺伝子発現の程度や平滑筋・横紋筋などへの分化傾向(heterologous differentiation)について調査した。さらにこれらの症例について臨床情報を収集し、予後調査を行った。特に骨形成を伴う脱分化型脂肪肉腫症例については、他施設の症例も借用し、FISH法により骨細胞や骨芽細胞におけるMDM2増幅の有無についても詳細に検討を行った。カスタムアレイについては、12q13-15, 1p32, 1q21-q22, 6q23, 11q23-24, 19q13など、増幅・欠失の知られる領域に高密度にプローブを配したカスタムCGHマイクロアレイを設計し、原発性の脱分化型脂肪肉腫症例においてアレイを3回実施した。詳細な解析は今後行う予定であるが、いずれの症例においても12q13-15のMDM2遺伝子を含む領域で増幅が認められた。
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