研究課題/領域番号 |
16K19083
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
柏木 維人 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50722451)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | がん代謝 / 難治性がん / 核内受容体 |
研究実績の概要 |
がん細胞では正常細胞とは異なるがん特有の代謝 (がん代謝) が行われており、例えば解糖 (ワールブルグ効果) や脂質合成が顕著に亢進している。近年、がん細胞特異的な代謝要求を攻撃する種々の分子標的薬の開発が試みられているが、未だ臨床応用には至っていない。 我々はこれまでに、口腔扁平上皮癌細胞株において、コレステロール代謝に関わる分子の発現を制御しているLiver X 受容体 (LXR) α/βのアゴニストが、コレステロールの排出に関わるABCA1 (ATP-binding cassette transporter A1) の発現誘導を促進することにより、細胞増殖抑制作用を示すことを明らかにした。 小細胞肺癌や浸潤性膵管癌はどちらも低い生存率と高い再発率を示す難治性がんである。これらの難治性がんにおいてもがん代謝を標的とした治療が有望視されている。このような背景から、我々はLXRとその代謝関連標的分子に着目し、難治性がんに対する新規分子標的薬を開発するという着想に至った。 そこで本研究では、まずはじめに正常肺組織、正常膵臓組織、肺小細胞癌組織および浸潤性膵菅癌組織におけるLXRα/βの発現を免疫組織化学法にて検討し、正常組織を構成する細胞種毎のLXRの発現状態と、難治性がん組織におけるLXRの陽性率を明らかにした。これらの結果から、肺小細胞癌および浸潤性膵菅癌においてLXRが治療標的分子になり得る可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
難治性がん組織およびその比較対象となる正常組織の検体収集、免疫組織化学法の条件検討に当初の予定より時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
難治性がん培養細胞株や担がんマウスを用いて、LXR標的薬の抗がん作用の有無を評価し、抗がん作用がみられる場合はそのメカニズムを詳細に検討する。また同時にLXR標的薬の正常細胞および正常動物に対する毒性の有無も評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅れから実際に消耗品に使った費用が当初の計画より少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度は現在遅れている培養細胞株の実験と、さらにマウスを使用した実験に予算を使用する計画である。
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