研究実績の概要 |
2016年度~2018年度では、Salivary dcut carcinoma (SDC)でTyrosine kinase receptor B(TrkB)の陽性例がpT1-3群よりもpT4群で有意に多いことを免疫組織化学で明らかにした。また、多形腺腫から二次的に発生したSDCではTrkBのリガンドであるBrain-derived neurotrophic factor(BDNF)の陽性例が有意に多いことを明らかにした。TrkBのもう一つのリガンドであるNeurotorophin-4 (NT-4)も免疫組織化学で検索したが、有意な結果は得られなかった。TrkBのバリアント(TrkB-FL, TrkB-1)に関しても遺伝子レベルで検索した結果、いずれも発現を認めたが、有意差はなかった。 2019年度(最終年度)はSDCのmRNAから合成したcDNAで、BDNFとNT-4のmRNA copy numberを解析した。いずれも遺伝子増幅を認めたが、有意差はなかった。免疫組織化学の結果と比較したが、上記のいずれの結果においても相関はなかった。 BDNFとNT-4はSDC細胞でTrkBと共発現していると考えられ、AutocrineによってTrkBシグナル伝達を惹起している可能性がある。TrkB、BDNF、NT-4のタンパク発現には翻訳抑制やプロテアソームの影響を受けている可能性がある。ただ、これに関しては培養細胞などを用いた更なる検討が必要である。
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