研究課題
申請者らは多施設から集積した末梢性T細胞性リンパ腫(Peripheral T-cell lymphoma: PTCL)の一種である成人T細胞性白血病リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma)の標本に対して免疫染色を行い、PPD-L1発現の有無とその発現が予後を含む臨床病理学的特徴と関連を有するかどうかを統計学的に比較検討した。腫瘍細胞にPD-L1陽性の症例を腫瘍性PD-1(nPD-L1)陽性ATLL、腫瘍細胞にPD-L1陰性の症例をnPD-L1陰性ATLLと定義し、nPD-L1陰性ATLLのうち、腫瘍周囲の非腫瘍細胞にPD-L1陽性の症例をmicroenvironmental PD-L1 (miPD-L1) 陽性ATLL、いずれもPD-L1陰性の症例をPD-L1陰性ATLLとした。7.4%がnPD-L1 陽性ATLL、92.6% がnPD-L1 陰性ATLLであり、nPD-L1陰性ATLLのうち、58.5%がmiPD-L1陽性ATLL、34.1%がPD-L1 陰性ATLLであった。nPD-L1陽性ATLLはnPD-L1陰性ATLL はoverall survival (OS)が有意に不良であった(P = 0.0085)。nPD-L1陰性ATLLにおいてmiPD-L1陽性ATLLはPD-L1陰性ATLLと比較して有意にOSが良好であった (P = 0.0029)。多変量解析によりnPD-L1陽性とmiPD-L1陽性はそれぞれ独立した予後因子となった (P = 0.0322, P = 0.0014)。今回の研究でPD-L1発現によりPTCLの一種であるATLLにおいて臨床病理学特徴が異なることが示唆された。臨床的、生物学的な意義に関してさらなる検討が期待される。
2: おおむね順調に進展している
症例の集積および免疫染色が比較的順調に進み、統計解析において良好な結果が得られたため。
現時点で、PTCLの1亜型であるATLLについての検討がほぼ終了しているが、他の亜型についても検討を行う予定である。
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Blood. 2016 Sep 8;128(10):1374-81.
巻: 128 ページ: 1374, 1381
10.1182/blood-2016-02-698936