研究課題/領域番号 |
16K19117
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
見市 文香 (三田村文香) 佐賀大学, 医学部, 助教 (70576818)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 赤痢アメーバ / シスト形成 |
研究実績の概要 |
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)は、ヒトの大腸に感染し、アメーバ赤痢を引き起こす寄生虫である。赤痢アメーバの生活環はシスト期と栄養体期で構成されている。シスト形成は次の宿主への唯一の伝播経路であるため注目されてきたが、分子機構や制御機構についてはほぼ未解明であった。赤痢アメーバの培養株はシスト形成能を失っているため、E. invadensのin vitroの系を用いてシスト形成の解析を行っている。これまで、形成されるシスト数の計測は、顕微鏡を用いた細胞計測が主流であった。シストと栄養体と区別をするため、界面活性剤で一定時間処理後(シストは界面活性剤耐性)、トリパンブルー染色を行い顕微鏡下で計測する方法であるが、長時間の処理を要し、また顕微鏡での計測であるため、処理数に限界があり、網羅的解析は不可能であった。また、界面活性剤の処理時間によって細胞数が変化すること見出しており、シストの表現型を界面活性剤耐性のみで議論することに限界があった。 そこで、最初に迅速にかつ再現性高くE. invadensのステージ毎の細胞数を計測できる方法の確立を試みた。
フローサイトメトリー法で検出するため、最初に、シストおよび栄養体の染色方法を検討した。結果、シストを特異的に染色する色素(染色A)、栄養体を特異的に染色する色素(染色B)を得た。染色AとBで2重染色を行うと、栄養体とシストの集団を明確に分離して検出することが出来た(見市、投稿中)。また、シスト形成を誘導、タイムコースを追って染色AとBで2重染色を行ったところ、細胞集団の動きとして検出することに成功した(見市、投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
栄養体からシストへのステージ移行に伴う細胞の劇的な変化の解析方法として我々はフローサイトメトリー法を導入することを行った。従来の顕微鏡による観察とは異なり、ステージ移行を細胞集団の移動として計測することが可能になったこと、そして、従来は不可能であった「シスト形成過程における阻害剤の作用ステージの解析」が可能となった。さらに定量性もあることも見出しており、阻害剤の効果を細胞数の計測で行うことが可能となったことから、網羅的に阻害剤の探索にも有用である。 今後の発展のため、有用な方法論の導入になったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
得られた成果を論文報告する。 得られた方法を用いた、大規模な阻害剤のスクリーニングを行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画は予定通り進み、現在論文投稿中です。投稿中のため、決定は次年度となる予定です。 目指す雑誌が厳しいことから、追加実験が指示される可能性があります。 掲載雑誌が決定後、論文掲載料が決定しますが、目指す雑誌の掲載料が高いため、次年度まで補助事業期間を延長します。
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