研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、医療機関および一般住居の空気および浴室等の排水口から採取したサンプルを用いて次世代シーケンサーによる真菌層解析を実施した。その結果、空気中からはFusarium属菌は僅かしか検出されなかったが、浴室等の排水口からはFusarium属菌が高い頻度で検出された。さらに今年度は、深在性フザリウム症の病原菌として最も分離頻度の高いF. petroliphilum の病原性を評価するために、マウスを用いた感染実験を実施した。具体的には、F. petroliphilum, F. falciforme, F. oxysporumの分生子を免疫抑制処置を施したマウスに静脈内接種し、感染後14日間の生存率を評価した。その結果、F. petroliphilum感染群の生存率はF. falciforme感染群およびF. oxysporum感染群と比較して有意な差は認められなかった。しかし、F. petroliphilum感染群の感染7日後の体重減少率はF. falciforme感染群およびF. oxysporum感染群と比較して有意に減少していた。以上の結果から、F. petroliphilumによる深在性フザリウム症の発症要因として環境要因に加え本菌の病原性が多少なりとも関与していることが示唆された。
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