本研究では、CM2の発現量、N結合型糖鎖の成熟、量体形成に関与する73-75位のアミノ酸配列が、ウイルス増殖に及ぼす影響を明らかにするために、この配列をアラニンに置換した変異ウイルスを作製し、解析した。その結果、変異ウイルスの増殖能は有意に低下した。また、この配列の変異により、ウイルス粒子内、感染細胞内及び細胞膜でのCM2量が低下した。一方、糖鎖の成熟や量体形成には大きな差は認められなかった。以上から、ウイルス感染細胞の細胞膜でのCM2量が減少したため、出芽部位でのゲノムパッケージングが抑制されたことが考えられた。さらに、ウイルス粒子内のCM2量が減少したため、脱殻が抑制されたと考えられた。
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