研究課題/領域番号 |
16K19139
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 徹 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (80628595)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フラビウイルス / 細胞死 / BCL2 |
研究実績の概要 |
フラビウイルス感染におけるMCL1の分解のメカニズムを検討するため、RNA decayによるMCL1 mRNAの分解を検討した。XRN1欠損細胞を作製し、日本脳炎ウイルスを感染させたところ、MCL1の分解は、野生型と同程度であった。日本脳炎ウイルス感染細胞と、非感染細胞を放射線ラベルしたメチオニンを加えて、新規の蛋白質合成を検討したところ、ウイルス感染において、顕著な蛋白質合成の低下が認められた。そこで、GFP蛋白質にPESTドメインをつないだ、D2GFPを発現する細胞を作製し、日本脳炎ウイルスを感染させたところ、D2GFPもMCL1と同様に分解されることがわかった。さらに、MCL1やD2GFPと同様に半減期が短く不安定な蛋白質のサイクリンD1も日本脳炎ウイルス感染により分解されていることがわかった。以上の成績から、日本脳炎ウイルス感染により、細胞の蛋白質合成が阻害され、半減期の短いMCL1は新しい蛋白質ができないため、分解されていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウイルス感染によるMCL1の分解メカニズムは不明であったが、本年度はタンパク質合成阻害のメカニズムを明らかにすることができた。また、マウスを用いた動物実験においては、BCLX欠損マウスを作製することができた。来年度は、BCLX欠損マウスを用いた検討を行い、生体レベルでの役割を検討する。 以上のことから、研究は、概ね順調に進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ウイルス感染による蛋白質合成阻害の引き金となる、センサー分子、あるいは、それに関与する分子の同定を検討する。さらには、マウスを用いた解析を詳細に進め、ウイルス感染におけるMCL1分解における生体での意義について検討する。
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