電離放射線に被曝した臓器は、その感受性に応じて様々な機能障害を起こす。人体において、消化管は放射線に対する感受性がとりわけ高く、放射線事故や癌の放射線治療において高線量の放射線に曝されると、急性期から晩期に渡って多様な障害が引き起こされる。これまでに研究代表者は、マウスにおいて好酸球の遺伝子欠損が放射線誘導性小腸線維症の症状を、またTLR3の遺伝子欠損が放射線誘導性口腔内粘膜炎の症状を顕著に抑えることを見出しており、本研究課題ではその仕組みについて解析した。H31年度には、放射線化学療法に伴う粘膜炎に対するTLR3阻害剤の効果の検証のほか、in vitro培養した舌上皮細胞を用いた薬剤スクリーニングを進めた。
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