研究課題/領域番号 |
16K19149
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡崎 朋彦 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (50724598)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インターフェロン / 細胞死 / カルボキシル化 |
研究実績の概要 |
ウイルス感染細胞においては、免疫応答によってウイルスを排除しつつも免疫応答に伴う宿主へのダメージを回避することが重要である。しかしながら、ウイルス排除と恒常性維持を両立する機構は未だほとんど明らかでない。我々は最近、ウイルス複製を制限するⅠ型インターフェロン(IFN)産生と、感染細胞除去を担う細胞死という二つの異なる応答を使い分ける機構を世界で初めて報告した(Okazaki et al., Science Signaling, 2015)。また、二つの応答制御に必須の分子IPS-1がカルボキシル化(Gla化)修飾を受けることを見出し、更にGla化修飾がIPS-1のⅠ型IFN産生能と細胞死誘導能を切り替える可能性を見出した。そこで本研究では、ウイルス感染細胞がIPS-1のGla化によりⅠ型IFN産生と細胞死誘導を使い分けることで、宿主の恒常性維持とウイルス排除を両立するという新しい仮説の検証を行った。カルボキシル化酵素であるGGCXをマウスの脳特異的にノックアウトしたところ、水疱性口内炎ウイルスVSVの脳内複製が亢進し、生存率が低下した(未発表)。したがって、IPS-1のGla化によるⅠ型IFN産生と細胞死誘導を使い分けが宿主の恒常性維持に重要である可能性が示唆された。また、IPS-1のGla化レベルを変化させる上流制御としてIPS-1のリン酸化修飾を見出し、実際のリン酸化候補サイトを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カルボキシル化酵素GGCXのノックアウトマウスを用いたin vivoの解析を行った結果、期待通りの表現系が得られた。また、IPS-1のリン酸化サイトの同定に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きGGCXノックアウトマウスの解析を行う。また、IPS-1のリン酸化の機能解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より順調に進んだため、想定してたマウス感染実験の条件検討等が必要なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
GGCXの神経系以外の細胞種における役割を調べるために、骨髄系マーカーLysM-cre マウスを用いた解析を行う。
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