近年、メモリーCD8陽性T細胞には局在、遊走能、機能の異なる細胞が多く存在し、きわめて不均一な集団であることが明らかにされたが、その分化の機構についてはいまだ不明な点が多く残されている。本研究では、一部のKLRG1陽性のエフェクターCD8陽性T細胞はKLRG1を一時的に発現したのち消失し、高い細胞障害活性および増殖能をもつさまざまな種類のメモリーCD8陽性T細胞へと分化することを見い出した。本研究により、エフェクターCD8陽性T細胞はこれまで考えられていた以上に高い分化の可塑性をもち、この可塑性がメモリーCD8陽性T細胞の多様性や長期的な生体防御応答の形成に貢献することが明らかにされた。
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