研究課題/領域番号 |
16K19173
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
服部 稔 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (10584683)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ノンテクニカルスキル / HUESAD / 内視鏡下手術 |
研究実績の概要 |
本年度は内視鏡外科手術に必要なノンテクニカルスキルの同定を行った。まず,文献研究から内視鏡外科手術技術に直接的に関わることが示唆される,ノンテクニカルスキルを抽出した。 文献研究からPlaying computer games,Sewing,Playing musical instruments,Using chopsticks,Using scissors,Riding a bicycleの6つの変数を抽出した。そこで,まずは医学部学生を対象として,この6つのノンテクニカルスキルと内視鏡外科手術技術と関連があるかHUESAD(Hiroshima university endoscopic surgical skill assessment device)によって評価を行った。その結果,コンピュータゲームの経験が高いもの,箸を使うのが得意なもの,ハサミを使うのが得意なもの,自転車によく乗るものが内視鏡外科手術技術の向上と関連していることが示唆された。これらは先行研究と一致した結果だと言える。近年,特にコンピュータゲームは内視鏡外科の空間認知能力と関連していることが多くの研究で示唆されている。しかし,コンピュータゲームと空間認知能力,そして内視鏡外科手術技術の関連は明らかになっていない。そこでさらに追加解析としてコンピュータゲームと空間認知と内視鏡外科手術の関連を明らかにするために,構造方程式モデリングを用いて検討を行なった。その結果,コンピュータゲームは空間認知能力を高めることによって,内視鏡外科手術技術が向上していることを明らかにした。 次に,内視鏡外科手術に重要だと思われるノンテクニカルスキルについて内視鏡外科医6名に対して,半構造化面接を行い検討した。外科医には技術認定医2名が含まれていた。得られたインタビューをテキストマイニングの手法を用いて抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直接技術に関するノンテクニカルスキルを予定通り抽出することが可能であったこと,さらに構造方程式モデリングを用いて,ノンテクニカルスキルがどのように内視鏡手術に影響を及ぼしているか検討できたことは。予定通り進行していると言える。このことは学会発表,学会誌に報告する。 しかし直接技術に関連しないノンテクニカルスキルについては,対象者が少ない可能性があるので,対象者をさらに増やして検討を行う必要があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,技術に直接関連しないノンテクニカルスキルをテキストマイニングによって抽出し,技術に直接関連しないノンテクニカルスキルが患者のQOLにどのような影響を及ぼすのか検討を行う予定である。テキストマイニングを用いてノンテクニカルスキルを抽出する。テキストマイイングとは大量のテキストデータから「隠れた」情報や特長,傾向,相関関係を探し出す技術である。現在「日々の勉強」「新しい術式の検討」といった知識を増やすことが主な項目として抽出されている。しかし先行研究などで抽出されている「態度」「リーダーシップ」といった,医師の態度などは抽出されてなかった。本研究では,6名と対象者が少なかったことから多彩な意見が抽出できなかった可能性がある。また技術認定医が2名含まれていた。この2名は「態度がいいというのは当たり前」と語っており,技術認定医と一般外科医の考え方の違いが大きく影響した可能性がある。まずは,調査対象者を増やしてノンテクニカルスキルを抽出していくことが必要になると思れる。
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