研究課題/領域番号 |
16K19177
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
星野 絵里 聖路加国際大学, 臨床疫学センター, 講師 (50598521)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 胆道閉鎖症 / スクリーニング / 便色判別 / パターン認識 / 費用対効果 |
研究実績の概要 |
胆道閉鎖症は、生まれつき又は生後間もなく胆管がつまり、胆汁が腸に流れなくなり、外科治療なしに放置すれば2~3歳で死に至る疾患である。先行研究では産後60日以内での早期発見、早期手術が予後を改善するとされている。本研究は (1)既存のスクリーニング法の、全国展開されている便色カラーカード、尿採取による硫酸抱合型胆汁酸(USBA)測定法の効果を、2次データを利用して検証し、(2) Information and Communication Technology (ICT)活用の便色判別プログラムの実施と効果の検証をし、(3) 3方法を比較した際の、胆道閉鎖症スクリーニング方法の費用対効果分析を行い、より効果の高い胆道閉鎖症早期発見のためのスクリーニングシステムの構築を目指す。 平成27年度実施実績については、沖縄県の研究協力者と共に(1)既存のスクリーニング法の、全国展開されている便色カラーカード、尿採取による硫酸抱合型胆汁酸(USBA)測定法の効果を、2次データを利用して検証中である。(2) Information and Communication Technology (ICT)活用の便色判別プログラムの実施と効果の検証については、便色判別プログラムの基盤となるパターン認識手法を使ったアルゴリズムの開発を実施し、特許申請をおこなった。iPhoneユーザーを対象としたリサーチキットアプリ(アプリ名:Babyうんち)として、平成28年、9月にリリースを行った。また、便色判別プログラム構築に関する内容を論文化し、現在査読付き英文雑誌に投稿中である。(3) 3方法を比較した際の、胆道閉鎖症スクリーニング方法の費用対効果分析については、機軸となる決定樹の作成を本年度実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)既存のスクリーニング法の、全国展開されている便色カラーカード、尿採取による硫酸抱合型胆汁酸(USBA)測定法の効果を、2次データを利用して検証を進めている。2次データの取得については、沖縄県や、長崎県の研究協力者自身の研究進捗に依存する部分が多いため、当初想定したより多くの時間と事務的な調整事項が発生し、予定より進捗が遅い。 一方で、2) Information and Communication Technology (ICT)活用の便色判別プログラムの実施と効果の検証については、同機関内の研究協力者のサポートをうけ、当初の予定以上のスピードで進んでいる。便色判別プログラムの基盤となるパターン認識手法を使ったアルゴリズムの開発を実施し、特許申請をおこなった。[「情報処理装置、情報処理システム及びプログラム」(特願2016-190338)]また、便色判別プログラム構築に関する内容を論文化し、現在査読付き英文雑誌に投稿中である。日経デジタルヘルス(平成28年9月29日)、日本経済新聞(平成29年4月20日などで、本研究に関する記事が掲載され、社会的な注目も集めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も引き続き(1)既存のスクリーニング法の、全国展開されている便色カラーカード、尿採取による硫酸抱合型胆汁酸(USBA)測定法の効果を、2次データを利用して検証を進める。(2) Information and Communication Technology (ICT)活用の便色判別プログラムの実施と効果の検証については、便色判別システムの精度の向上のための検証に着手している。また、5月の上旬には仙台で行われる第7 回胆道閉鎖症国際シンポジウム(7th ISSBA)で、口頭発表予定である。現在査読中の論文についても、受理をめざし引き続き執筆を継続する。また、3) 3方法を比較した際の、胆道閉鎖症スクリーニング方法の費用対効果分析については、機軸となる決定樹の作成を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
iPhoneアプリのため、業務委託を依頼した株式会社ウンログへの支払いが完了していないために、当初の予定よりも多くの残金が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度中には、便色判別アプリカスタマイズ料金および、ICTサーバー利用料金を支払予定である。
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