研究課題/領域番号 |
16K19182
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 都美 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (30635066)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 抗菌薬 / 胎生期曝露 / 乳幼児 / 小児喘息 / アトピー / アレルギー疾患 |
研究実績の概要 |
我が国の小児喘息の有症率は4%~10%程度とも推定され、疾患の発症に関連する因子を検討することは重要である。これまで、疾患発症に寄与する因子として、家族歴や性差などの個体因子、ダニや埃・大気汚染などの環境因子が指摘されてきたが、近年の欧米における検討で、胎児期や乳児期の抗菌薬曝露と小児喘息発症との関連が示唆されている。 小児への抗菌薬の使用については、米国などが慎重な姿勢を取っている一方で、我が国の小児領域では高い頻度で処方されているとの指摘がある。抗菌薬の過剰使用は多剤耐性菌や新型耐性菌の出現を引き起こすが、近年の集団保育の拡充を背景として、我が国の乳幼児では耐性化が進んでいるとの指摘もあり、排泄物等を経由した環境への影響も懸念される問題である。 そのため本研究では、胎児期および乳児期における抗菌薬の処方実態を記述するとともに、抗菌薬曝露と小児喘息・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎発症との関連の有無について、大規模レセプトデータベースにより明らかにすることを目的とした。 初年度は、既に入手しているデータセットを用いて、母子の情報の連結、薬剤・傷病名の特定といったデータハンドリングを行い、解析用データセットを作成した。解析においては、まず、乳幼児における抗菌薬の処方実態を記述し、レセプトデータで得られる変数を用いて処方に関連する因子を探索的に検討した。次に、胎児期および乳幼児期の抗菌薬処方と小児喘息発症に関連が見られるか、統計学的に検討を行った。得られた結果については、論文にまとめ国際誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要解析までを終え、論文の投稿や学会発表の準備を進めている。乳幼児への抗菌薬の処方実態に関する論文については、採択され出版待ちの状態である。胎児期および乳幼児期の抗菌薬の処方と小児喘息発症に関する論文については、国際誌へ投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度得られた主解析の結果を踏まえて、次年度は乳児期の抗菌薬使用とアトピー性皮膚炎・鼻炎発症との関連を検討する予定である。また、薬剤疫学研究に伴う各種バイアスについても検討を深めると共に、得られた成果を国内外の学会で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度では、国際会議が近隣地域で開催されたため予定より出費額が少なく、特に旅費に関して未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度では、解析結果を国内外の雑誌や会議で発表することを考えており、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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