研究課題
本研究の目的は、レセプトデータベースを用いて、我が国の小児に対する抗菌薬の処方実態を把握し、さらに、胎児期および乳児期における抗菌薬曝露と小児喘息発症との関連の有無を明らかにすることであった。1)未就学児の抗菌薬の処方実態の記述解析の結果、児へ抗菌薬の外来処方の特徴として、第3世代セファロスポリンやマクロライド系など広域抗菌薬の処方が多いこと、急性上気道感染症や急性気管支炎の病名の付与は10%程度付与されていることが明らかとなった。さらに、かぜ症候群と推測される急性上気道炎に対する抗菌薬の処方は、時間外受診で1.5倍程度、小児科以外の診療科で2倍多く見られることが明らかとなった。この結果は、英国の医学雑誌Journal of Public Healthに投稿し、掲載された。2)抗菌薬曝露と小児喘息発症に関する検討結果として、胎児期および乳幼児期の抗菌薬曝露は子の小児喘息発症に弱い関連が見られた。しかし、胎児期の抗菌薬の曝露は、3歳以降の小児喘息発症との関連が消失すること、また3歳未満の関連の点推定値が1に近く関連があるとはいえない結果であった。一方、乳児期の抗菌薬の曝露は、その後の小児喘息発症と関連がみられた。3歳までの発症に関するハザード比は2.43、3歳以降の発症に関するハザード比は1.23であった。また、抗菌薬の種類別による検討から、特に3歳未満児の小児喘息発症について、マクロライド系抗菌薬使用との関連が見られた。以上の結果は、ヨーロッパアレルギー学会誌(Pediatric Allergy and Immunology)に投稿し、採択された。
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Pediatric Allergy and Immunology.
巻: in press ページ: in press
10.1111/pai.12902.
Journal of Public Health.
巻: 27 ページ: 1-7
10.1093/pubmed/fdx045.