研究課題/領域番号 |
16K19189
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
古賀 農人 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 精神科学, 助教 (70744936)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳型脂肪酸結合タンパク質 / バイオマーカー / 統合失調症 / 双極性障害 / うつ病 |
研究実績の概要 |
初年度に行った拘束ストレスによる抑うつ状態モデルマウスにおいて、対照よりも有意に血中の脳型脂肪酸結合タンパク質(Fatty acid-binding protein 7, FABP7)濃度が高値であった。また、予備的に検討した臨床検体を用いた研究では、ドットブロット法を用いた血中FABP7の検出において、対照者よりも、統合失調症、双極性障害及びうつ病患者における血中FABP7濃度が高い傾向であることが示された。昨年度はドットブロット法よりも正確な定量解析を目的としてELISA法を用いて、さらに検体数も増やして分析した。その結果、対照者よりも統合失調症、双極性障害及びうつ病患者において血中FABP7濃度が有意に高値であった。また、統合失調症はPANSS、双極性障害及びうつ病患者においてはHAM-D及びYMRSを用いて各疾患における重症度と血中FABP7濃度の相関を分析した。その結果、統合失調症においてPANSSのスコアと正の相関が認められ、重症度との有意な相関が示された。双極性障害及びうつ病患者においては本研究で調査した症状評価尺度との相関は認められなかった。 ここまでの研究結果から、血中FABP7濃度が疾患の診断の補助に応用可能なマーカーとして期待できる結果が得られた。また、統合失調症においては、重症度の客観的評価が可能であるマーカーとしても期待できる結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に行った動物モデルを対象とした検討や、昨年度行った健常者や患者由来の検体の収集ならびにその検体を用いた分析等について特に滞りなく進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年までに収集した検体において、健常者においてはいずれの評価尺度も調査していなかった。今年度は、健常者及精神疾患を持つ患者を対象に共通の評価尺度を用いたストレベルの評価と、血中FABP7濃度について分析を進める予定である。以上の調査には改めて収集する検体を使用する予定であり、これにより、再現性についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年9月末で北海道大学を退職し、2017年10月より現所属先である防衛医科大学校に異動した。これに伴い、科研費の移管の手続きも必要であったことから、研究に必要な試薬等の購入が一部出来なかった。統計学的な分析においてさらなる検体数が望まれるため、最終年度は引き続き検体収集と、FABP7の分析を進める。この目的で、FABP7を検出するキットの購入を予定している。この他には、昨年度までの研究成果を学会で発表する予定であるので、その旅費に支出する予定である。また、現在論文作成中であり、これに係る英文校閲及び論文掲載の費用に支出する予定である。
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