研究課題
本研究の目的は、Programmed cell death 1(PD-1) 関連一塩基多型(SNPs)解析に基づき、多発性骨髄腫におけるPD-1 と抗腫瘍免疫細胞の関連を明らかにすることで、予後や治療効果予測のバイオマーカ―への臨床応用である。初年度は、健常者と多発性骨髄腫患者の3つのPD-1 SNPs(-606G/A・+7209C/T・A215V )を決定し、比較検討を行った。健常者と多発性骨髄腫患者における、各SNPの遺伝子型頻度およびアレル頻度に有意差は認められなかった。多発性骨髄腫患者において遺伝子型により臨床背景を比較したところ、PD-1 +7209低産生型は高産生型患者に比べ有意に形質細胞腫の割合が高く、PD-1 A215V AA型はAV&VV型患者に比べ骨病変の患者が多く、PD-1 SNPsが多発性骨髄腫の症状に影響することが示唆された。しかし、いずれのSNPにおいても全生存期間には有意な差は認められなかった。また、免疫系に影響を与えるとされる新規薬剤治療群(サリドマイド・ボルテゾミブ)でも同様の解析を行ったが、いずれの項目においても有意な差は認められなかった。PD-1 SNPsのうち-606G/Aと+7209C/TはPD-1 mRNA発現との関連が報告されているが、リンパ球表面PD-1発現との関係は未だ明らかにされていない。現在、並行してPD-1 SNPsとリンパ球表面PD-1発現とmRNAの関連をフローサイトメトリー法やリアルタイムPCR法で検討している。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りPD-1 SNPsの遺伝子型決定と解析が完了した。フローサイトメトリー法によるPD-1測定は一度に多くの測定が行えないため、やや遅れている。
今後は、PD-L1の2SNPsについて健常者と多発性骨髄腫患者の遺伝子型を決定し、解析を行う。また、SNPsとPD-1発現の関係性を明らかとするために、健常者におけるリンパ球表面PD-1の測定を引き続き行う予定である。
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